短編
□泣いてもいいよ。
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それはホントに些細なことだった。
「あれ?シュウじゃない!!久しぶりかも」
「おや?誰かと思ったらハルカか、本当に久しぶりだね」
「えっと・・・2ヵ月ぶりだったかしら?」
「ああ、その通りだよ。しかし、君が覚えてるなんて珍しいこともあるんだね」
「な!?しっ失礼かも〜〜〜〜!!」
いつものように、口喧嘩もとい痴話喧嘩が始まる。
この二人は、ほんの些細なことで喧嘩になる。
そして決まっていつも、シュウが勝ち誇ったような笑みを浮かべ終了する。
今回もそのはずだった。しかし、
「あれ!?あそこに居るのってシュウ様じゃない!!///」
「え!?嘘!本当だわ///」
「「 キャァ〜〜〜〜〜〜//////シュウ様!! 」」
一人・・・また一人と次々集まってくるシュウのファン。
最終的には、すごく大人数になっていた。
しかも、その集団がこちらに向かってくる。
あまりの大人数に、喧嘩どころではなくなった二人。
ハルカは引きつった顔、シュウは困ったような苦笑いをそれぞれ浮かべていた。
年々増え続けている、シュウ様ファンクラブ。
その数の多さには、付き合いの長いハルカでさえ驚くほどだ。
「・・・相変わらず多いわね。貴公子様?」
「五月蠅いよ。舞姫様?」
「あーー!もう!!そのあだ名で呼ばないで欲しいかも!」
ファンが迫っているのにも関わらず、痴話喧嘩を再開した二人。
そんな二人を見て、ようやくハルカの存在に気がついたファン達。
シュウに憧れを抱く子なら、ハルカの存在は妬ましいだろう。
とうとう、そのうちの一人がボソッと言った。
「調子に乗りすぎじゃない?あの子」