短編
□片方の温もり
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「はぁ〜、ホントに寒いかも!!」
吐いた息が白くなり、消えていく
ハルカは自分の手に、さっき買ったばかりの新しい手袋をはめた
冷えきっていた手がじんわりと温もっていくのを感じた
ジョウト地方に来てから初めての冬だ
町中はクリスマスが近い為か、カップルが多い
その為、一人っきりのハルカは、町中から浮いていた
「うぅ、やっぱりカップルが多いかもっ!それに比べて一人きりの私って・・・」
いくらハルカがコンテストや食べる事に夢中でも、年頃の女の子なのだ
お洒落だって、恋にだって興味はあるわけで・・・・
やはり羨ましいという気持ちがある
去年はサトシ達と一緒に過ごしていたから、こんな気持ちになることは無かったんだけど・・・
「でも、一人で旅をするって決めたんだから、頑張らないと!!」
「君は一人で叫んでいて、恥ずかしくないのかい?ハルカ・・・」
後ろからいきなり声が聞こえた
振り返らなくても、誰だか分かってるけど・・・
「シュっシュウ!?貴方、どうして此処に?」
「どうしてって、今日はこの街のポケモンセンターに泊まろうと思っていたら、叫んでいる君の声が聞こえたんでね」
ちょっと寄ってみたんだ、そう言って軽く笑うシュウ
そんな彼の手は、寒さのせいで赤くなっていた
「シュウ、手袋しなくても平気なの?」
「全く平気って訳じゃ無いんだけどね・・・」
苦笑いでそう答える彼に、さっきから思っていた事を聞いてみた
「だったらどうして、手袋をしてないのよ?」
「此処に来る途中で、ちょっと手から手袋を外した瞬間に、風に飛ばされてしまってこの有様さ」