お題

□知ってるよ、ほんとの君
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「まったく、君はどうしていつも怪我ばっかりするんだい?」

「うぅ、すまんち」

「傷が残ったらどうするのさ。君は女の子なんだから」



そう、僕みたいに・・・



昔、ボーマンダにつけられた傷。

この事件のせいで、僕は大切な女の子を傷つけてしまった。


彼女の純粋な心に恐怖を与えてしまったんだ。



それから数年の時が流れ・・・


どういう運命か、今僕は再びあの時の女の子とこうして会うことが出来た。


でも当時の彼女の面影は無くて、変わりに野蛮で野生児で上品の欠片も無くて、おまけに美しさも無くて。

兎に角、あの頃のお姫様は立派な戦士へと変わっていた。



でも全てが変わった訳じゃない。


本当は、君が女性らしくて、可愛いものが好きで、誰よりも純粋な事を僕は知っている。

怒っている君も驚いている君も、笑っている君も・・・

君がただ守られるだけのお姫様じゃ嫌だって事も。



全部全部知っているよ。


だから無理して変わらなくて良いんだ。



昔の君と今の君じゃ、姿は全然違うけれど。

でも、心は全く変わっていない。


君の心は、今も昔も変わらず美しいものだ。



だからこそサファイア。


僕は純粋で真っ白な君を汚したくないんだ。

マボロシ島で君が言ってくれた事は、凄く嬉しかった。
僕も君が好きだったから。


でも君が思っているほど、僕は綺麗じゃないんだよ。

今の僕じゃ、君に釣り合わないんだ。


だから、もう暫くはこの関係のままで。


「ルビー、さっきからボーっとしてどぎゃんしたと?」

「・・・何でもないよ、サファイア」


(どうか真っ白な君のままでいて欲しい)

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