短編
□君の隣
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「あーあ、もうちょっとで勝てそうだったのにな〜」
ついさっきこの街でコンテストが行われたの。
その大会にはシュウも出ていて、私たちはファイナルでぶつかったんだけど、僅差でシュウが勝った。
「また、君に抜かれるわけにはいかないからね」
「ふーんだ!絶対またシュウを抜いて見せるんだから!!」
「それは楽しみだね。でも、後何年後になるのか・・・」
「ちょっと!!どういう意味よシュウ!!」
いつものようにケンカが始まる。
と言っても、ハルカが一方的に怒ってシュウはそれをひらりとかわすのだ。
そんな時、あるポスターを見つけた。
「・・・お祭り?」
「本当だ。しかも、きょう開催するらしいね」
「ああ、だからポケモンセンターが騒がしかったのね」
どうやら、この祭りの主催場所はポケモンセンターの近くらしい。
だから、多くの人がポケモンセンターに泊まり、そこから祭りに出かける。
たまたまハルカは、ポケモンセンターに泊まることになっていた。
「お祭りだなんて久しぶりカモ♪ついでだから、行ってみよっと」
「君の場合、花より団子だろうけどね」
「しっ失礼かも!!・・・否定は出来ないけど・・・」
拗ねたように、頬を膨らませそっぽを向いているハルカ。
そんなハルカの様子を見て、溜息をつくシュウ。
「・・・なによ」
「いや。ただ、君は一人で祭に行くのかい?」
「寂しいけど、仕方ないじゃない。一人旅だもの」
「生憎、僕も一人で祭に行くのは勘弁したい。そこでだ、もし良ければ一緒に行かないかい?ハルカ」
「え、いいの?」
やったー!と満面の笑みで喜ぶハルカを眺めながら、シュウも優しく笑っていた。
「・・・結局、花より団子じゃないか」
「シュウ〜〜〜!早く!!」
「はいはい」
数m先に、ハルカは居る。
祭りの会場に着いたとたん、目を輝かせて真っ先に食べ物の屋台へ走って行ったのだ。
そんなことを、何回も繰り返しているのだ。
これでもか!と買いこんでいる食べ物を、残さずきれいに間食しているハルカ。
そんなハルカの様子に、シュウは呆れるどころか、むしろ感心してしまう。
「そんなに急がなくても、食べ物は逃げたりしないよ」