短編

□噓吐き
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僕は君が嫌いだ


唐突に呟かれたその一言に、バンダナをした少女の瞳が揺れた。


「何言って・・・」

「そのまんまの意味さ。」


冷たく言い放つと、放心状態の君に背を向けた。



もちろんこれは嘘で合って、この後ネタばらしをする予定だ。


後ろに居るハルカは、泣いているだろうか。

それとも怒っているだろうか・・・

なんて考えていると、突然後ろから声が発せられた。


「そう、よかったわ。じゃぁ、別れましょ。」


意味が分からない発言が後ろから淡々と聞こえて、後ろを向いた。


ハルカは、泣いても怒ってもない・・・

笑っているのだ。

悪戯っぽく小悪魔のように・・・


「・・・何故?」

「だって、私も貴方のこと嫌いだもの。」


ショックだった。ハルカが僕のことが嫌いだなんて・・・


僕はその場で放心状態になってしまった。


「な―んてね。嘘よ、シュウのこと嫌いなんて」


ハルカの最後の言葉が言い終わるが早いか、僕はハルカを抱きしめていた。


「シュウ?いきなりどうしたのよ」

「・・・・本当に嘘?」


消え入りそうな声で問う。

ああ、今の僕は非常に美しくないっ


「もしかして本気にした?ごめんね、全部嘘カモ!シュウのこと好きよ?だから別れてなんてあげないカモ」


優しく少女は少年に答える。


「そもそも、貴方が悪いんでしょう?あんな嘘つくから・・・」

「ハルカの反応が見たかったから。」

「もう、シュウってば・・・」


少年は少女に口付けを落とす。


「私は何処にも行かないわ」

「ああ、好きだよ。ハルカ」

「私も、シュウが好きよ」

噓吐き

(好きよシュウ。嘘だけど)

(え・・・)

(大好き!)

      

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