短編
□君に伝えたくて。
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気づいてしまったの。いつも、コンテスト会場で緑の髪を探してるのを・・・
気づいてしまったの。貴方の言葉が・・・厭味しか言ってこない貴方が、たまに優しい言葉をかけてくれるのを・・・
気づいてしまったの。優しい顔で私を見る貴方に・・・
気づいてしまったの。私以外にはそんな態度をとらないって・・・
気づいてしまったの。私のこの気持ちに・・・
気づいてしまったの。私は貴方のことが・・・−好きなんだってことに。
どうして貴方に恋をしたんだろう?どうして貴方は私にそんな顔をするの?
ねぇ、貴方にとって私って何?
そんなことはもう分りきっているけど。だって、私と貴方は『ライバル』
だったら、どうしていつも薔薇をくれるの?
私は知っている。薔薇の花言葉を・・・
貴方はどういう意味で、この花を私にくれるの?
聞きたいことは山ほどあるのに、本人の前では言えないの。
ねぇ。シュウ
私は貴方が好きよ・・・大好きなのっ
だから、私だけを見て・・・なんて私の我儘だわ。
悔しい。私だけ貴方に惚れるなんて・・・
でも、気づいてしまったこの気持ちを止める方法なんて、私は知らない。
だから、たまには自分に素直になろう!
見慣れた緑の髪を見つけて、私は駆け寄った。
「シュウ!!」
驚いてこちらを見る彼に向けて、私は満面の笑みで言ったわ。
「好き。私、貴方が好きなのシュウ」
じゃぁ、と言ってくるりと背を向けて私は全速力で走った。
「へっ返事はいつでもいいかもー!!!」
と言いながら。嗚呼、たぶんいや絶対、今私の顔はすっごく真っ赤だわ。
言ったあとで後悔ばかりやってきた。
急に私は彼に合わせる顔がなくなってきて、この町から出た。
振られるのが怖いんだ・・・私っ!!
私はシュウのことは諦めることにした。だって、私たちはライバルなんだもの・・・
シュウにも今度会ったら言うつもりよ。
迷惑掛けてごめん。もうあんなこと言わないから・・・って。
自然と涙が出てきた。この涙が止まるまで、貴方のことを想って泣こう。
「シュウ・・・」
上を見上げると、私のココロとは反対な、雲ひとつない真っ青な空が広がっていた。