短編
□Happy×Happy
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「うん。君の服、また作ってみたんだ」
「今回は青なんやね」
前に貰ったオレンジ色のワンピースの色違いバージョンだった。
ルビーに作ってもらった服は、今回の分を合わせて3着目になる。
あたしは、少しずつだがオシャレをするようになってきており、服も何着か自分のものを持っていた。
だから昔のような葉っぱの服は着ていない。
そして昔と違い服にも困っていない。
いくら元はルビーの服だからと言っても、作り直すんだから、其れなりの手間と時間が掛かっている筈だ。
だから急に申し訳なくなって、俯いた。
ルビーは行き成り俯いたあたしを、不思議そうに見ていた。
「どうしたんだい?もしかしてその服、気に入らなかったのかい?」
「そっそぎゃんこつなかよっ!とっても気に入ったとよ・・・せやけど」
キョトンとしているルビーに、あたしは申し訳ない気持ちで言った。
「せやけど、流石に何回も服を貰うのは申し訳なかよ・・・だからこの服は返すったい」
「何だ、そんな事か」
「んな!?」
あたしが折角申し訳ない気持ちで遠慮してたのに、目の前の男は『そんな事』で済ませた。
何だか急に腹立たしくなって、目の前の男を睨んでいたら、行き成り溜息をついた。
この態度にとうとう我慢できなくなったあたしは、文句を言ってやろうとした。
が、それより早く目の前の男が口を開いた。
「あのさ、僕が君に服をあげているのは僕が作りたかったから。それに僕が好きで君に作っているんだから、別に君が気にする事じゃないよ。」
まぁ君が嫌って言うんなら止めるけどね。
「嫌なわけなか!!とっても嬉しいったい」
「じゃぁこの服貰ってよ。きっと君に似合うと思う・・・」
そんな事言われると何も言い返せなくなるじゃないか。
あたしはルビーから先程の服を受け取り、抱き締めた。
そんな様子をルビーは優しい顔で見ていた。
「ありがとう・・・とても嬉しいとよ」
今のあたしに出来る精一杯の笑顔。
この一言にありったけの感謝の気持ちを込めて。
ルビーもあたしに笑いかけてくれた。
「サファイア。生まれてきてくれて・・・こんな僕を好きになってくれて、本当にありがとう」
ルビーの顔が段々あたしに近づいてきた。
あたしはスッと目を閉じ、暫くすると唇に柔らかな感触が訪れた。
ありがとう
こんなあたしを愛してくれて・・・
「さぁ先輩達が待っているよ。」
「うん!!」
あたしは差し出されたルビーの手を取り、先輩達が待っている場所へと向かった。
(サファイア、生まれてきてくれてありがとう!!)