短編
□あの頃には戻れない
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・サファイア標準語
・サファイアが結婚する
・ルサじゃない
・悲恋
それでもいいという方は、どうぞ ↓
彼女の隣は、僕だった。
これから先も、ずっとそうなんだと信じていた。
もっと早くに気がついてたら、君は僕の隣で笑っててくれたかな・・・
僕の隣に君は居なくて。
君の隣が僕じゃなくなったのは何時からだろう・・・
気づいた時にはもう遅い。
“ねぇルビー、あたしね結婚するの”
幸せそうに笑う君。
左手の薬指に、キラリと光る、幸せな証。
サファイアが人生で一番綺麗な日。
「・・・サファイア、僕だよ。入ってもいいかい?」
「どうぞ」
控室の扉の奥には彼女が居た。
ウエディングドレスを身にまとった、サファイアの姿は、今までで一番綺麗だった。
「ルビー、来てくれたの?嬉しい!ありがとう」
「・・・beautifulだよ、サファイア。・・・お幸せにね。」
「えぇ///」
サファイアが、照れながら笑った。
「?どうかした??」
「・・・何でも無いよ」
僕は今、きちんと笑えているだろうか・・・
作り笑いは得意だから、きっと大丈夫だろう。
「じゃぁ、僕そろそろ会場に行くよ」
「えぇ、分かったわ」
ゆっくりと扉を閉め、会場へと足を進めた。
本当は、今すぐにでもサファイアを抱きしめたかった。
2人で遠い所へ逃げたかった。
僕の隣でずっと笑っていて欲しかった。
でも、そんなことはもう出来ないって分かっているんだ。
幼かったあの頃にはもう戻れない・・・
君の隣は僕じゃない。
幼かった僕の恋にGood-bye・・・
どうか、誰よりも幸せになって。サファイア・・・
「I love you・・・」
あの頃には戻れない