短編
□素直になれなくて
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・・・あれから、どれくらい時間が経ったんだろう・・・
身動きが取れないあたしは、未だにその場に居た。
情けないったらありゃしない。
心の底で、アイツが来てくれるなんて思って居る自分がいる。
そんなはずなんて、あるわけないのに・・・
いつの間にか、空に星が瞬いている。
途方に暮れていたその時、
「サファイア!!」
聞きなれたこの声、間違いない。
あたしが、待ち望んでいた彼が目の前に居る。
「・・・ルビー、なして・・・?」
明らかに、あたしと同じ・・・いや、それ以上にボロボロだ。
美しさが第一の彼が、こんなになるまで探してくれたんだと思うと、申しわけなさが込み上げてくる。
あたしは、情けなくて顔を彼に向けることが出来ず、俯いた。
その時、ふわりと温かい温もりがあたしを包み込んだ。
「無事で良かった・・・」
「ルビー・・・?」
ルビーに抱きしめられている。
彼の温もりが、冷え切ったあたしの体に伝わってくる。
こげんボロボロになるまで、あたしを探してくれてありがとう。
素直にそう言いたいのに、あたしの口は言うことを聞いてくれない。
それどころか、全く正反対な言葉が出て来た。
「・・・あたしのことなんて、どうでもいいんやろ!?もう放っておいて!!」
「どうでもいい?そんなのあってたまるか!!」
滅多に声を張り上げない彼が、声を張り上げた。
彼は、あたしを抱きしめる腕に力が少し強くなった。
「・・・ごめんよ、サファイア。僕は今まで君を傷つけすぎた」
ぽつぽつと話し始める彼の話を、最後まで黙って聞くことにした。
「でも、僕の気持ちを君に聞いてもらいたい」