短編
□素直になれなくて
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やっぱりルビーは、あの事を忘れとるんやろか・・・
マボロシ島を出るときに告げた、あたしの想い。
そして、ルビーもあたしの気持ちに答えてくれたはずったい。
それなんに、あん人・・・
ルビーはあの時のこと、覚えてないって言いよる・・・
あたしの告白も・・・自分の返事も・・・
全部全部忘れたって言っとったと・・・
本当にそうなんやろか。
ルビーがもし、あたしのこと何とも思ってないんやったら、あんなに優しくしないで欲しか。
ばってん、そろそろ話の決着をつけることにするったい。
あたしは、秘密基地へと向かった。
たぶん、ルビーが居るはずだから・・・
やはり彼は、秘密基地に居た。
「やぁ、サファイア。珍しいね、君がこんな時間に来るなんて」
「あんたに用があってきたと」
「珍しいね。君が僕に用だなんて・・・」
あたしは、一呼吸分置いてゆっくりと告げた。
「あたし、あんたのことが好きったい」
ルビーは目を見開いた。
でもそれは一瞬で、すぐにいつものボーカーフェイスに戻った。
「!?な・・・何の冗談かなサファイア」
「冗談じゃなかと。あたしは本気ったい」
彼の紅い瞳をまっすぐ見据えて、静かに告げた。
「・・・サファイア。君熱あるんじゃない?家に帰った方が・・・」
「ルビー、誤魔化さんで。熱なんてなか」
冷静にそう告げると、ルビーはとうとう黙りこくってしまった。