短編
□さぁ、物語を始めよう
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あたしはお姫様になりたかった。
物語に出てくるような、綺麗で可愛い女の子。
最後は王子様と結ばれてハッピーエンド。
そんな夢のようなお話に憧れたったい。
だから小さい頃はフリフリのドレスや可愛い靴が大好きだった。
いつかあたしにも素敵な王子様が迎えに来てくれるんだって。
でも・・・
小さい頃に現れたあたしの王子様は、あたしを庇って大きな怪我ばしてしまった。
― あたしを庇ったせいで彼は酷い怪我を負ってしまった。
あの事件以来、お気に入りのフリフリドレスも可愛い靴も、全部全部捨てた。
もうあたしはお姫様になれないんだって・・・
「・・イヤ・サ・・・・サファイア!!」
誰かに呼ばれたような気がして目をゆっくりと開けた。
目を開けた瞬間目と鼻の先に紅い瞳。
しばらくして状況を理解したとたん、あたしは飛び起きた。
「うわわわわわぁ!!!」
ガバっと起き、そのままルビーと距離を取る。
「ちょっと、耳元で大声上げないでくれる?」
ルビーは整った眉をつり上げ、いかにも迷惑そうな顔をしていた。
だがそんなルビーの言葉は、今のあたしには聞こえていなかった。
「ななな///なんばしょっと!!」
「何って君が突然泣き出したから心配して覗き込んだんだよ。どうかしたのかい?」
ルビーは心配そうな顔であたしに尋ねる。
あたしは首を横に振った。
「ううん、何でもないったい!!」
あたしの王子様は、あたしを庇って、頭に大怪我ば負ってしまったと。
でも王子様は、大きくなって再びあたしの前に現れた。
昔とは違って、ひねくれてて嘘つきでコンテスト一筋な王子様。
でも・・・
こんな王子様がいてくれるなら、あたしはもう一度お姫様になれるのかな?
さぁ、物語を始めよう。
今度はきっと、飛びっきりのハッピーエンドだから。