短編

□強引な愛を囁いて
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あたしは・・・あん人が好きだった

でも、あん人は・・・



バトルフロンティアの事件後


あたしはゴールドさんと話が合うことから、よく一緒に出かけたりしていた。

ゴールドさんは、よく相談にも乗ってくれて強引だけど、とても優しい人だ。



だからうっかりあの事を話してしまった。


そう、マボロシ島の事を・・・―


あたしがルビーに告白した事。

過去の出来事。

そしてルビーが告白のことを知らばっくれている事。


「ルビーは何も答えてくれん・・・いつも知らばっくれると」


ゴールドさんは何も言わず、只々黙って真剣な顔で聞いてくれていた。



「あたし・・・ずっと答えてくれるのを待つつもりだったったい」


でも・・・


「でも、もう限界ったい・・・せやから、あたしあん人の事、諦めることにしたとよ」


あたしは今、自然に笑えているだろうか・・・

泣いたら迷惑が掛かってしまう。
それだけは絶対にいけないっ。

唇をギュッと噛み締め、涙がこぼれ落ちないように必死で耐えた。


「じゃぁよ、サファイア」

今まで口を開かなかったゴールドさんが、唐突にあたしの名前を呼んだ。

顔を上げようとした途端、視界が暗くなる。
その代わり、体全体に温もりが伝わってきた。


簡単な事だ。

ゴールドさんがあたしを抱きしめているのだから。


「っゴッゴールドさん!?なんばしょっと!!」


軽くパニック状態なあたしは、取り合えず離れてもらおうと、腕の中でもがいた。

が、体はスッポリゴールドさんの腕の中にあり、抜け出すことが出来無い。
それどころか、さっきよりも更にキツく抱き締めてくる。

「ちょっ、ほんとにどぎゃんしたと?ゴールドさん」


「俺にしねーか?」

「・・・え?」


突然の事に、思考が停止した。


今ゴールドさんは何て言った?
どうして行き成りそんなっ


「なっなんば言いよるん、そげなこつ・・・」

「俺は本気だぜ、サファイア」


突然抱き締める腕が緩くなったかと思えば、ゴールドさんはあたしの口を自分のそれで塞いだ。
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