リクエスト

□愛羅さんからのリクエスト
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 双樹は、ニコニコとご機嫌だ。
「双樹、何か欲しいものがあったら、言えよ。」
普段、仕事で遊んでくれない左近が、大坂に連れてきてくれただけでなく、一緒買い物してくれるのだから。
「あい!」
始終ニコニコと嬉しさを隠していない。
 手をつなぐ左近も嬉しいらしく、二人で笑いあっている。
 道を手をつないで、二人で歩く。双樹の小さな手は左近の手にすっぽり収まってしまうので、手がいつも温かい。
「双樹は、欲しい物がないのか?」
「んー?」
小首を傾げて、考えるも思いつかないらしい。
 まぁ、いいか、と散歩がてら、のんびり歩く。動乱の時代には、考えられなかった、穏やかさだ。
「双樹、団子でも食うかい?」
繋いだ手越しに問うてみる。
「たべる〜!」
嬉しそうな声で、小さな頭は、上下に振っている。
 その様子を見て、左近は双樹を抱え上げ、
「なら、食べに行くかね」
歩みを旨いと評判の茶屋へと向けた。
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