僕の羽根、君の翼。
□大きくなったら。
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『メイは好きな人いるの?』
‥いつだったか、まだ小さかった頃。
メイとは幼馴染みでよく一緒に遊んでいて。
何か、気付いたらメイの事を好きになってて思い切って遠回しに聞いたんだよね。
そしたら、
『うんっ!!』
って力いっぱい速答されて。
『じゃあその人ってどんな人?』
『うん、あのねっいっつも一緒にね、居る人なのっ』
『えっ!!?』
『すっごく優しくてね、面白いんだ!』
俺を映している大きな銀青の目が細くなる。
‥メイの笑った顔って大好き。見てると凄くあったかくなってこっちも嬉しくなるから。
じゃあ、俺とメイって両想いなんだ……??
『メイね、
おっきくなったらお兄ぃちゃんのお嫁さんになるのっ!!』
俺とメイって両想‥
『お兄ぃちゃんに言ったらすっごく喜んでくれたんだっ』
両‥想……
………………。
‥やっぱりメイはメイだった。
「…‥ファ……ァ、エファ…??」
「……ぅ‥…。‥メイ?」
声に反応して薄く目を開ければ、俺の顔を覗き込んでいるらしく目の前にメイの顔があった。
ちょ‥顔。顔近いんだけど‥!(←でも嬉しい
「セルリアちゃんがね、マドレーヌ作ったんだって! だから一緒に食べようと思って」
「うん。食べる」
「甘い物好きだもんね、じゃあ早く行こっ」
すっと立ち上がったメイがまだ横になっていたままの俺に手を差し出す。
「うん、行こ」
手を取って立ち上がる。
「今でも『お兄ちゃんのお嫁さんになる』って思ってるの?」
忘れていた昔の出来事。
出そうになった言葉は、機械からの風で微かに動く天樹の葉の音に消されて。
そのまま届く事なく消えた。
暫らく後、マドレーヌと出された紅茶を飲んで先刻の事を忘れているエファの姿があったとか。。
end.