単品作品

□幸運な男と間の悪い女
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その夜、俺は大層機嫌が良かった。
初めて任された一大プロジェクトが、この日、大成功の内に終了したのだ。
お前は運がいいな、と友人、同僚、上司にまで言われた。
自分でもそう思う。
学生時代から現在に至るまで、さしたる失敗もなく進んできた。
友人にも恵まれて、今日は打ち上げでおおいに盛り上がった。
その友人達の二次会への誘いを断って、一人人気のない路地を歩いているのは、自分なりの儀式の為だ。
目的地に着いた。
俺は路地の片隅にある狭く長い階段をおりて、目前のどっしりとした焦茶色の扉を開いた。
 

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