BLEACHのお部屋
□劇団オペラ
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〜第一章『そして始まる』〜
雛森達が通う音楽学校は日本で唯一、国立で声楽科、ピアノ科、バイオリン科の3学科から成り立っている。
学費も公立並み、寮もあるとくれば入学時の競争率は高く、音楽業界でも有名な学校だ。
声楽科の3年生は卒業実習でオペラを披露する。
これは今まで学んできたオペラの集大成を見せると共に、配役で成績が決まる。
今日はその配役発表の日なのだ.
学校あげての行事なだけあり、合格発表の時のように外に張り出される。
雛森たちは生徒がごったがえす中、掲示板を目指していた。
「す、すごい人…街中にいるみたい…。」
「毎度のことだろ?」
「でも、なんか様子おかしいよ?」
歓喜や泣き声で叫んでいるわけではなさそうな不陰気だ。
それにあちこちでヒソヒソとこちらをジロジロみている。
「……日番谷くんなんかした?」
「はあ?なにいってんだ。」
「だって…なんかみんなの視線が痛いんだけど。」
まわりを見渡すと確かにみんな2人に視線が集まっている。しかし、日番谷は別に注目を集めるようなことをした覚えはない。
大方、配役発表におもしろくないことが書いてあったのだろう。
「あ、ひ、雛森〜!!」
同じ学科の友人、松本乱菊が2人を見つけ掛けてきた。
日番谷はその瞬間いっせいに視線が集まるのを感じ隠れたくなった。
「発表見た?おもしろいことになってるわよ」
「へ?おもしろいことって?」
「ほら、あれ。」
みんな3人に道を譲り静かになった。
雛森は不気味み思いながらも掲示板を見た。
第33回卒業演目『椿姫』配役発表
ヴィオレッタ……雛森 桃
アルフレード……日番谷 冬獅朗
アンニーナ……松本 乱菊
ジョルジュ……黒崎 一護
「え?…ヴィオレッタ?…ってえええええぇぇぇ!!?」
みんなが騒いでる意味がやっとわかった。
「わ…私が主役で…主席に!?」
これがすべての波乱の幕開けだった。