OTHERの部屋

□chaird sleep
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ほんとうに年に一回あるかないかだが、しいなが寝れずに寝ぐずる事がある。


「おい、しいな」


「なんだい」


なるで拗ねたような彼女に小さくゼロスは小さくため息をついた。








『chald sleep』







「お前、寝てないだろ」


一瞬、肩がぴピクンと跳ねる。


「な、何の事だい?」


「うそつけ。だいたいお前が嘘つく時は最初に言葉が濁るんだよ。」



しいなは何も言わない。
ただ俯いているだけ。


寝てないのに気が付いたのは昨日。
まあ、顔に隈を作っていたのを見たのだ。


他の者には気が付かれないようにしていたようだが同棲を初めて二年。
傍で見てきたゼロスにはわかる。


理由は一つではない。
ため込んで無理をすると寝たくても寝れず今の状態になる。


こうなるとリフィルですら寝れるように促しても聞かない。



「…しいな。」


ゆっくりと、しいなに近づいていく。
いきなり行くと逃げられるからだ。


そうは言っても最終的に強制的に寝かせることになるのだが。
腕を掴み、向かい合わせにする。


「いいかげんにしろ。それとも一緒に添い寝してやろうか?」


みるみる内に顔が赤くなり、ポカポカと殴り始めた。


「何言ってるんだい!そこまでしなくたってちゃんと…っうわっ」


最後まで言い終わらずに体が浮いた感覚に慌ててゼロスの首に腕を回す。


「そのセリフ聞き飽きた。…何もしないし傍にいてやるから寝ろよ。」


腕の中のしいなは『あー』だの『うー』だの言っていたがそんなのお構いなしだ。

寝室のドアをしいなを落とさないように慎重に開ける。
ゆっくりとベットに横たえると、鼻を啜る音が聞こえてきた。

半べそをかいているらしい。
子供のようだと、今日何度目になるかわからいため息をつくと、しいなの頭を撫でる。

布団を二人でかけ、ポンポンとリズムを刻みながら体を優しく叩く。
だんだんと唸り声が聞こえなくなり始めた。

完全に寝息に変わり、ふうっとゼロスは息を吐く。
先程とは打って変わってあどけない寝顔。

弱さを滅多に見せないしいなだからこそ、心を許している証拠だと思うのだが、ため込み過ぎてしまうにも困り者だ。


(まあ、でも…)


それでいいと思う。
たまに、なのだから。



だから今はゆっくりと。



戦う戦士に休息を。







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