BLEACHのお部屋
□寒い日に
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『寒い日に』
十番隊執務室ではいつものように慌しく隊員達が仕事に励んでいるが、眉間に皺をよせて不機嫌そうに机に向かっている少年が一人。
十番隊隊長 日番谷冬獅朗
その人である。
不機嫌なのは別に副官の乱菊が仕事をしないからではない。
朝、乱菊が、誕生日なんですから早く帰らせてください。
などと言ってきたので逆に仕事を大量に押し付けてやった。(職権乱用)
ブーブーと文句をいいながらも仕事をしているとこをみるともうこりたらしい。
机に噛り付いてもうかれこれ数時間。さすがに体がこってきているのを日番谷は感じた。
見かねた乱菊がお茶入れますね〜と乱菊は給湯室に消えていった。
「あ〜…疲れた。」
乱菊に言われるまで今日が誕生日だとは気づかなかったが、さすがにこれじゃ誕生日などといってられる状況ではない。
机に体を預け楽な格好をとって体を休める。
なんとなく外の霊圧を探ると馴染んだ霊圧が近づいてきていた。
雛森だ。
「日番谷くんいる?」
「ああ。入れ。」
ひょこっと顔を出すと執務室に入ってきた。
「あれ?乱菊さんは?」
「お茶を入れてる。それよりどうした?」
「たいした用事じゃないんだけど…今日、誕生日でしょ?日番谷くんの。…今から抜け出せる?」
この時ばかりは横に積み上げられている書類を睨んだ。
せっかく誘ってきたのに…。
書類には今日中に提出の書類があり、量も半端ではないためどう考えても抜け出すのは無理そうだ。
行きたいのは山々だが、断ろうと口を開いた。
「わる…」
「行ってきていいですよ。」
悪いと言いかけてどこからともなく別の声がした。
「誕生日くらい、ゆっくりしたらいいじゃないですか。」
「ら、乱菊さん?!」
「私一人くらい、しばらく平気だから遠慮なくいってくだい。」
「でも…」
「いいのよ。隊長、昨日まで徹夜ですねてんのよ。」
「誰がすねてるだ!!」
結局、乱菊に押し切られ、雛森と共に執務室を後にした。
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雛森に連れられて来た場所は丘の上。
なんでこんな所まで連れきて何をするつもりなんだろうか。
「おい、雛森。こんな所に連れてきてどうするんだ?」
雛森がさっきからぶらさげている物が気になりつつ雛森に訪ねた。
「うんとね、じゃーん!!日番谷くん用にお弁当作ってきてあげたの。どうせ仕事忙しくてろくなもんたべてないだろうと思ってさ。」
綺麗な布で包まれているお弁当を日番谷に渡した。
このところ徹夜続きで軽いものしか口にしてなかったのでお腹がすいていた。
しかもちょうど今はお昼時。
「出かける暇がなくて、プレゼントまでは用意できなかったんだけど…ごめんね」
「…いや、これで十分だ。」
「ホント?よかったv」
雛森はほっとした表情を浮かべ、笑顔になった。
その気持ちだけで。一生懸命作ってきたのがわかるから。
(…物じゃなくても十分だよ)
大好きな人と過ごせるのなら。それだけでプレゼント。
その後、楽しそうにお弁当を食べている二人をみかけたとか。
〜終わり〜
+あとがき+
誕生日記念小説でした〜vこんなほのぼのな日雛を書くのは久しぶりです。
ひっつんおめでと〜!!