BLEACHのお部屋

□こんなに近くで
1ページ/2ページ











いつも一緒だった。






でも、いつからかこんなにも遠く感じるようになったのは気のせいじゃないと思う。




  

   『こんなに近くで』









私は副隊長。

あなたは隊長。


それは揺るぎない事実で、逃れようのない現実だ。




―幼なじみから、恋心へと変わったのはいつのことだったか。



自室の窓を開け、夜空を見上げる。



恋がせつないと気づいたのも今日みたいな夜だった。

それに気がついたのは藍染討伐後から一年たった後のこと。


だって他の誰よりあなたのことを知っているから。
近すぎてわからなかった。

そっけないけど、さりげない優しさがこの胸を締め付ける。


どうしてそうあなたは優しいの?

こんな罪に汚れた私を許してくれるの?


こんなに近くで見つめても
どうしてただの友達なの?

当たり前。
だって私はただの咎人。


―そう、言い聞かせた。


気持ちがすぐに顔に出てしまうものだから今日言われてしまった。

「元気がないな。どうした?」

あなたから言われた瞬間、涙隠す欠伸で

「そ、そう?寝不足かな?」

「…そうか?」

「そうだよ」

言い訳をして誤魔化した私。
一番大切な人に嘘を重ねてく今の私。

毎日、毎日胸が苦しいから
過ぎていってしまう日々。

いくつもいくつも眠れぬ夜を越え
今日もまた過ぎて行く。

はじめて出逢ったあの日にまた戻れるのならいいのに…。

幼くてまだ何も知らないままだったから。

「愛してる」と告げたらきっと
もう二度と笑顔には戻れないかもしれない。

怖いよ。

けれど友達のまま作り笑いはこれ以上私できないから。

ホントはホントはずっと好きだったの。
いつでもいつでも愛し続けてたの。

あなたにあなたに届けたい気持ちを青い空へと囁いた。

どんなにどんなに強く想っていても伝えられない。

あなたは私の気持ちを知らないまま。




―あなたを愛してるといつか言おう。







―それまで、もう少し待っててね。






―日番谷くん。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ