鋼の錬金術師のお部屋

□I Will…
1ページ/1ページ

―あふれ出してしまう涙なら今は止めなくいいの?







           『I WIll…』









今あなたに会えないけれどせつない思いを隠していた。
何もない掴んでもつかめない空をウィンリィは見つめる。

(…何してるのかな…エドたち)

さよならさえ言わせてもらえなかった。
…いつもどおり、待たせてはもうくれない。

前はあんなに会いたくて苦しかったのにどうして今は落ち着いているんだろう?
心が冷たくなってしまったのだろうか。

どちらにしろ今考えてももう遅い。

迷わずに焦らずに過ぎていく時間は優しさに変わってく痛みも忘れない。

それでもうおしまい。
だってそうでしょう?

もう会えないかもしれないらならなおさら私らしく生き抜こう。
そうでなければきっとエドは怒る。

なんだか怒る様子が頭に浮かんだ。
それにまたいつかフラっと帰ってくるかもしれない。

信じている新しい明日を私は生きていく。
あふれ出す涙は流れるけど悲しくはない。

悲しみの最後には光が差し込むはずだから。

急ぎ過ぎて壊してきたものを取り戻すの私らしく歩くために。

机には届くはずのない手紙。

壁にはもう取る事もない写真。

どれも消す事もなく、隠しているのも。

いつになっても大人になれない自分。



そのどれもがウィンリィ自身。
ベットにうつ伏せで寝ていた体を起こしベランダに出る。

外ではデンが蝶を追いかけて庭をグルグルと回っていた。
思わず笑みが顔に浮かんだ。

できればエドたちにもこんな穏やかな日々が巡っていればいいと思う。


(…見ていてね。…きっと私らしく生きて見せるから。)


時に現実は無常で身を裂かれるけど。
だから今はあえてさよならは言わない。


無邪気すぎて傷ついた心を抱きしめる。







―生まれ変わる自分のために。











+あとがき+
ハガレンでは初短編を書きました。うわー…ハガレンの小説書いたの久しぶりだ。
いやー、なんか書きたいことが書けて満足してます。
ここまで読んでいただきありがとうございました!!

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ