テイルズの部屋
□桃ノ花ビラ
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ゆらゆらと舞うこの暖かい日は
来年も、きっとその先もここで待ち合わせしてる
どこにいたって、いつだって思い出を届け続けるだろう。
この桃ノ花ビラを見るたびに。
『桃ノ花ビラ』
太陽の優しい日差しに、起こされるように目を開ける。
まだ肌寒さが残る今日この頃だが、朝の穏やかな気候にうれしく思いつつ体を起こした時、隣にある人の気配に目を細めた。
隣で漆黒の髪に身を包む青年―― ユーリが穏やかな寝息を立てている。
昨日の夜は遅くまで執筆活動をしていたエステルではあるが、帰ってこなかったことを考えると、家についたのは相当遅かったのだろう。
起こさないように注意し、エステルはそっとベットを抜け出した。
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外ではハルルの木が満開を迎え、花びらが宙を舞っている。
朝食を取るには幾分早い時間に目が覚めてしまったため、エステルは木の根元まで足を延ばしていた。
以前の旅でエステルがこの木を治したのはもう記憶にも久しい。