献上品

□白くやわらかいあなた
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白くやわらかいあなたは素敵。
私はあなたに夢中です。

あなたは少し突つかれただけでも、崩れてしまいそうな程儚い。
頼りない感触のあなたに触れる度、壊してしまわないかと心配するけれど、同時にギュッと握り締めて、粉々に潰してしまいたい衝動にも駆られるのです。

でも、あなたは私に力を与えてくれる。
あなたと接する度、私は元気になります。
あぁ、毎日でもあなたに逢いたい。

近頃は寒くなって参りました。
こんな季節には一層、あなたが恋しくて堪らなくなります。
その滑らかで冷たい肌を温めたいと思います。

今夜は、あなたは私だけのもの。
誰にも取られない内に、食べてしまいましょう。

あなたを小さく、食べやすい大きさに切り分けました。
あなたから出てきた液体も、残さずきちんと取っておきます。
それさえも、私の糧となるのですから。

細切れになったあなたの欠片を全部集めて、グラグラと茹だった鍋の中へ入れました。
あなたの液体も入れて、鍋をぐるぐるかき混ぜます。
温まったかしら。
お湯加減はいかが?

こんなあかい液体に浸かっていても、不思議とあなたの白さは変わらない。
染まるどころかよく映えています。
とっても美味しそう。

一人、鍋の前に座り、心ゆくまで、あなたを堪能しました。
私の口の中で、あなたは熱を伝えながらやわらかく崩れていきます。
やっぱりあなたは最高。
明日もあなたと逢えるでしょうか・・・?

「よし。明日は湯豆腐にしよう」
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