long story 2

□『死神の下り立つ時』
 epilogue-最後の言葉
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 カレンは全てが終わったことを見届けると、すぐに帰る準備を始めた。あまりに長くこの世界にいた為すぐに帰ることができなかったのである。
 それから数日で帰る準備が整った。
 カレンはもうすぐに帰れる状態を整えると役目を与えた者達に会いに行った。とは言え、現実には出られないので夢の中に。

 まずはミカエルの役目を継ぐ者、光獅。カレンの姿に最初は戸惑っていた。
 力を与えた者の一人とだけ自己紹介すると、カレンは言った。
 本当のことを知って自分が間違っていたことに気づき戸惑っていたが、他の者達の力を借り自分から率先して事の収集に当たった。
 これから聖の者達を統べる立場にあり大変なこともあるとは思うががんばってほしい、と。
 光獅はこの言葉を聞いて優しく微笑んだ。そして言う。
 もう二度とこんなことは繰り返させない、と。
 カレンは微笑んだ。そしてがんばってと告げると、黒い翼を広げて飛び立った。

 次にラファエルの役目を継ぐ者、知一。夢の中には魔の者も存在していた。
 光獅同様に自己紹介をすると、カレンは二人に言った。
 弟を守る為にその力をひと時失ったが、その弟を含め他の者達の力で本当の自分を取り戻した。
 これからも聖魔ということで不安定な部分は付きまとうかもしれないがその役目を果たしてほしい、と。
 二人は顔を見合わせると、ニコッと笑って魔の者が言った。
 役目とかよくわかんないけど、みんなが笑っててくれるようにはがんばるよ、と。その言葉に聖の者がニッと笑って頷く。
 それで十分よと言って少し笑うと、カレンは知一の夢から飛び立った。

 三番手はガブリエルの役目を継ぐ者、心実。敏感にもカレンが何者か気付く。
 それに頷くと、カレンは言った。
 一人になることを恐れ大人の言いなりになっていたが、本当の姿を取り戻す為立ち上がってくれた。
 これからもこのままミカエルの役目を継ぐ者を支えてあげてほしい、と。
 心実は控えめに微笑むと言った。
 ええ、もちろん。彼のことを支えていきたいと思っています、と。
 カレンはにっこり微笑んだ。そして彼のことを大切にねと言うと、夢の中から飛び立った。

 聖の最後はウリエルの役目を継ぐ者、明人。不思議そうにカレンを見つめる。
 今までのように簡単に自己紹介をすると、カレンは言った。
 屍天使の役目に怯えて母と向き合うことを避けてきたが、本当に大切なことに気づいて立ち向かった。
 まだ屍天使の役目は宿ってはいるが、母やミカエルの役目を継ぐ者を助けていってほしい、と。
 ウリエルの役目を継ぐ者は少し寂しそうに笑って言った。
 大切な人の為に、がんばるよ、と。
 カレンは柔らかく笑うと、うん、がんばってと言い、飛び立った。

 魔の一番手はルシファーの役目を継ぐ者、一輝。きょとんとした表情でカレンを見つめる。
 簡単に自己紹介をすると、カレンは言った。
 兄に記憶を封じられ自分が何者なのかわからなかったが、自分を取り戻してからは役目を果たそうと心を砕いてくれた。
 ミカエルの役目を継ぐ者同様統べる者として大変なことがあると思うが今までのように役目を果たしてほしい、と。
 一輝は恥ずかしそうに笑いながら言った。
 自信はないけどやれることはやるよ、と。
 お願いねとカレンは優しく微笑みかけると、飛び立った。

 二番手はヴァンパイアの役目を継ぐ者、零紀。ただじっとカレンのことを見つめる。
 短かく自己紹介を済ませると、カレンは言った。
 力を継いだ母より何も知らされず何もわからなかったが、話を聞いてからは戸惑いながらも力を貸してくれた。
 これから先も戸惑うようなことが出てくるとは思うけど支えてあげて、と。
 零紀は大人の笑みを浮かべると、大きく頷いてから言った。
 もちろん。みんなのことをね、と。
 頼もしいわね、期待してるわと言うと、カレンは飛び立った。

 三番手はワイルドハーフの役目を継ぐ者、未来。少しおびえるような目でカレンを見る。
 できるだけ優しい声音で自己紹介をすると、カレンは言った。
 兄を亡くして傷つき力から目を逸らしてきたけれど、今は現実と向き合い役目を継ぐ者であるという認識を持ってくれた。
 これから先また問題が出てくることもあると思うけど他の者達と共にがんばってほしい、と。
 未来は少し困惑した表情で言った。
 正直まだ怖い。でもみんながいてくれるから…がんばろうと思う、と。
 大丈夫、あなたならできるわと言うと、カレンは飛び立った。

 そして最後に死神の役目を継ぐ者、聖。カレンに真剣な眼差しを向ける。
 カレンはしばし見つめると口を開いた。
 死を目の前にして恐怖を覚えることも多々あったと思うが、それでも全ての聖、魔の者達の為にがんばってくれた。
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