long story 3
□『+×−=∞』
2.playboy×queen
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夏休みが終わり二学期を迎えた。二学期は一般的に体育祭や学園祭といったイベントが多い。もう少し突っ込むなら、クリスマスも二学期最後の一大イベントである。
その為恋愛応援部は夏休みに引き続き、かなり忙しい日々を過ごすことになっていた。
どうにか体育祭が済み、学園祭の準備が本格化する頃、廊下で一人の男子生徒が数人の女子生徒に取り囲まれていた。
「葛西先輩。学園祭は一緒にまわりましょうね」
「あ、ずるい。私とまわりましょう?葛西先輩」
他の女子生徒もキャイキャイ色々言い始め、その声が廊下中に響いた。
「相変わらずうるさいわね。もう少し静かにできないのかしら」
ちょうど通りかかった女子生徒が言う。
「かわいげないおまえよりは全然いいよ」
男子生徒がそう返すと、二人の間に火花が散った。
女子生徒に取り囲まれていた男子生徒は葛西慧太、高校三年生。
見た目はかなりイケメンで昔から女に不自由したことはない。そのくせ特定の彼女は持たず、近づいてくる女達とその時だけ関係を楽しんでいる。一言で言うなら『プレイボーイ』
一方、いやみを投げつけた女子生徒は宮坂香保、同じく高校三年生。
凛とした空気をまといまるでお嬢様のよう。そして言いよってくる男も多いが頑として受け入れることはない。その為『女王様』と噂されている。
二人はクラスは違えど同じ恋愛応援部に所属している。だが二人が言い合う姿は実は珍しくない。というよりも、出会えば言い合いが始まるのが普通という犬猿の仲とも言える関係だった。