long story 3

□『Dm/Ryu』
 エピローグ〜新たな場所で
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 幸せを告げる教会の鐘の音が鳴り響く。参列者から祝福の言葉とライスシャワーを浴びながら歩く和幸と未汐。あれから三ヶ月。ようやくこの日を迎えることができた。桜も鈴音の元で生活を始め、他の竜の子や元Dm達も新しい生活を始めていた。そして和幸の結婚式から数日後、雷華の元に久しぶりに竜の子と元Dm、その家族が集まった。
「それにしても驚いたな。雷華君が社長の息子だったなんて」
心底驚いたように和幸が言うと攻志はふっと笑った。
「俺も最初聞いた時は驚いた。でもおかげで仕事は安泰。南達に楽させてやれると思う。ずいぶん苦労させたからな」
攻志は目を伏せた。すると近くに座っていた南が身を寄せた。その様子を見て渚が口を開く。
「でも、私は塚さんに奥さんと子供がいたことに驚いたけど」
「まあ、離れた時はまだ恋人だったんだけどな。子供ができたことは聞いてたけど。一緒に暮らすようになってすぐに籍は入れた」
「結婚式は…しないのですか?」
怜未の言葉に攻志は少し考え込んだ。
「いずれはとは思ってるが…すぐには無理だな。とりあえず安定した生活が先だから。それより怜未さんは文女ちゃんと暮らしてるんだって?」
逆に聞かれて怜未は少しドギマギする。
「あ、はい、体もよくなりましたし、私に手を貸してくれた文女を助けたかったので引き取りました。仕事のほうもどうにか慣れてきて…今すごく毎日が楽しいです」
にっこり笑う怜未にみんなも微笑む。
「渚さんと葉君は最近どうなの?」
和幸の言葉に渚と葉は顔を見合わせる。
「特に変わったことはないですよ。私達は普通に家に戻っただけですから。ただ…しばらくは家を出れないかな」
「そうだね。おじさんもおばさんも心配してたし」
葉はそう言うとふふっと笑った。
「そういえば和幸さん、結婚したんだったわよね。おめでとう」
渚の言葉にみんなもおめでとうの言葉を贈る。和幸と未汐は照れて少し赤くなった。
「ありがとうございます。これでようやくおふくろや未汐を守ってやれる」
「あら、桜ちゃんは?」
渚に聞かれて和幸は桜のことを見た。
「もちろん桜も」
和幸の言葉に桜は笑顔を返した。この後もいろんなことを話しながらお茶を楽しんだり、食事をしたり。楽しい時間はあっという間に過ぎていき、よるも遅くなってきた。
「そろそろ今回はお開きにしますか」
雷華の父親が声をかけた。
「そうですね。もう九時も過ぎましたし」
怜未の言葉にみんなは帰り支度を始める。みんなが支度を整え、外に出ると攻志がポツリとつぶやくように言った。
「次はいつになるんだろうな」
「別に決めなくたっていいじゃない。いつでもいいんだから」
渚の言葉にみんなも頷く。
「じゃあ、いつかまた会う日まで」
「なんかそれじゃもう会わない感じじゃないですか?」
和幸の言葉に葉がつっこんだ。和幸ははははと笑う。
「確かにそうだな。とりあえず、またな」
和幸はそう言うと手を上げた。みんなも手を振る。そして新たな生活の場所へと帰っていったのだった。
 

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