今夜あの喫茶店で

□3.突然の事〜viewpoint of HAYATO
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 家へと向かう帰り道。俺はとにかくムシャクシャしていた。
 仁の奴、女連れてくればああなることはわかってたはずだろ?なのにあんなことしやがって…
 ドカ
「ああ?何ぶち当たってんだ?おまえ」
 イライラに任せて、俺はぶつかってきた奴にガンをつけた。しかしそこで初めてそいつが女だったことに気付いた。突然のことでどうしたらいいかわからず、ただ俺のことを見ている。
「あ、ごめんなさい…」
 俺はイライラと気まずさで気持ち悪くなり、横を向いた。
「あ、あの、大丈夫ですか?」
 ああ、大丈夫だよと言ってやりたかったが、結構気持ち悪くて言い返せない。あーもー踏んだり蹴ったりだーと思っていると、いきなり手を引かれる。どこへ連れてく気だ?こいつ、と思いつつ、俺はついていった。
 気付くと家の前を通り過ぎ、スタジオの方へと歩いていく。本当、どこまで行くんだ?と思っていると、スタジオの前にある喫茶店のドアを開けた。
「こんばんは」
「いらっしゃい。真由ちゃん。ん?その人は?」
 マスターと思われるじいさんが俺のことを見た。
「途中で会ったのだけど気持ち悪そうだったから。上、空いてますか?」
「空いてるよ。酔い覚ましのお茶でも持っていこうか?」
「はい。お願いします」
「真由ちゃんはいつものでいいね?」
「はい」
 真由と呼ばれた女はニコリともせず答える。俺は少し変な感じがした。
「どうぞ二階に上がって下さい。そのほうがゆっくり休めますから」
 真由はそう言って俺を二階へと促した。素直に俺は階段を上る。
 二階は一階以上に薄暗かった。何せランプしか明かりがねえんだもんな。そんなことを思いつつ、俺はとりあえず手前のソファーに座る。
 横になると起きれない気がしたからどべっとソファーに寄っかかり、真由は隣のソファーにちょこんと座った。
 間もなくさっきのじいさんが二人分のお茶を持ってやってきた。
「お待たせ。はい、酔い覚ましのお茶。ゆっくり飲むんだよ」
 じいさんはそう言いながら、カップにお茶をついで俺の前に出す。そしてその後ろにポットを置いた。
 その後、真由の前にポットとカップ、クッキーを置いていった。
「じゃあ、ゆっくりしてきなさい」
「ありがとう。マスター」
 真由はそう言うと自分でお茶をついで飲む。俺もとりあえず出されたお茶に口をつけた。
「に、苦え…」
 思わず口からこぼれる。半端なくそのお茶は苦かった。その様子を見てじいさんはくすくす笑う。
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