D.Gray-man

□思いをつなぐ -おまけ-
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 暫くたわいない話をしながら目の前にある赤い糸がふと気になって話しかける。
「ねぇティキこの機械、これってどうしたさ。あんたが作ったの?」
『ああそれね、伯爵の自信作。』
「伯爵の?」
 彼の言う伯爵といえば俺が知る限り一人しかいないわけで…。そいつの自信作?
(うわー胡散くさー。)
 などと本人が聞いたらおよそ失礼な事を思った。
『そ、お願いして作ってもらったんだよねー。ラビの声が何処でも聞けるようにしたかったから。』
「…大丈夫なんかこれ」
 胡散臭そうな目で装置に目を向ければそれが伝わったのか、クッと喉を鳴らしてティキが笑った。
『安心して良いって何も仕込んでないし通信記録も残らないから』
「そう? …ならいいさ」
 別にそんなの気にしてないけど。
『でもねそれ録音機能あるんだよねー』
「え?」
『そんな長くはいらないんだけど一分くらいならはいるかな』
「そんなん何に使うさ」
 こんな小さいのに随分ハイテクだなとは思うが一分じゃあまり使いみちなさそうなきがする。
『ん? そうだなー、んじゃそこのさ赤いボタン押してよそれが録音ボタン。終われば勝手に止まるから』
「赤いの? …ああこれか…押したさ」
 ボタンをポチリと押せばボタンの下のランプがチカリと点灯する。そしてふと思う、もしかして今喋ったのも入ってしまったんだろうかと。
(ちょっと恥ずかしいさ。)
 なんて思ってたら相手の方が上手だと次の瞬間思った。
『…愛してるよラビ。早く逢いたい』

 いきなりの愛の告白。
 (う、わっなんつーことを素面で言うんだこいつ!!!)
 思わず顔から火が出そうになる。
「ば、馬鹿ティキ! そんな恥ずかしいことを良く言えるな!」
 ランプが消えてから思わずまくし立ててしまう。
 好きとか愛してるとか言われないわけではないが、こんな風に何の気分も高まってない状態で言われたことなくて本当に恥ずかしい。
(ああ、もう凄い顔が熱いんですけど。)
『ひどいなぁ〜馬鹿はないっしょ俺の気持ちよ?』
「う、うるさい解ってるさ」
『あ、ラビ実は今凄い顔真っ赤でしょ』
「うっさい! 馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿ティキ!」
『うわー酷い言い様』
「うっさい! もう切る!」
 思わずコードを引っこ抜いてやろうとすると慌てた声が返ってくる。
『ああ! まってまって解った悪かったってまだ切るなよラビ。』
「やだ、もう遅いから切る」
 恥ずかしくって今はもう一分だって話せない。
『解った解ったもう切るから、その前にラビも何か言ってよ俺のほうにも同じ機能あるから』
「いやさそんなの…恥ずかしいじゃん」
『頼むよ。この機械確かに話は出来るけど、ラビだって忙しいんだし仲間といたらこうやって話出来るのはそんな多いわけでもないでしょ。離れてる間、我慢できるように…な?』
(そんな風にねだるのはずるいさ…)
 不意打ちとはいえ自分は先にメッセージを貰ってしまったのだ。自分だけ嫌なんていったら不公平だ。
「ズルイさティキ…馬鹿」
『俺はずるい男だけど、嘘つきじゃないよ?』
 ラビに関しては、と小さく訂正する声が聞こえる。
「解ってるさ…」
『じゃぁ録音するぞ? …3.2.1…』
 ティキはティーズに合図して録音をスタートさせるとじっと待つ。
 数秒が過ぎたところでいまだラビの声が聞こえずどうしたのかと思ったが、もう少しだけ待ってみることにした。

 15秒……30秒……40秒。
 
 終わりが近づいた頃さすがに堪えられなくなってつい声を出してしまう。
 「…ラビ?」
 (やべっ!)
 しまったと思い口をふさいだその時。
『………………………大好きさ、ティキ……お休み!』
 しっかり数えていたのか最後の挨拶までは入らず録音は切れていて、その後通信はブツリと切れたが、ティキは別に気にならなかった。
 ……気にしていられなかったというのが正しい。

「う、わっ…やばい」

 思わず片手で顔を覆う。
 赤面するのは今度は己のほうだった。



  END

この後のラビの運命やいかに(笑)

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