現実(リアル)と空想 〜 パラレル 〜
□第五章 歌。
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俺は稽古をしながら、横浜で見た夜の観覧車を思い出していた。
あの時現実感のない中で、ふと、そこだけが現実だというのを俺に教えていた。
(杉本さんに、聞いてみようかな・・・)
2年間、いや、杉本さんに会ったあの日から、引っかかっていたこと。
現実の中に潜む、『非現実』を―――
(まあとにかく今は、歌詞覚えないとな)
俺は歌詞カードを見た。
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いつか、いつかは、バレてしまうと思っていた。
自分が、“普通の人”ではないということを。
(細谷はん、どう思うんやろ・・・)
もし、バレてしまったら、もういつも通りに話してくれないだろうか?
気持ち悪いと、自分を避けるだろうか。
(けど、嫌な予感がすんねん・・・。誰かに狙われとるような・・・)
ここ最近、よく襲撃されることが多かった。
甲斐田は騒動の原因は皆川がいるからと言っていたが、今回は皆川が主役というわけではない。
・・・遊びに来るとは言っているが(汗)。
「ちょっと、岡村はんに相談してみるか」
東京公演だけでも、と、わいは急いでお台場に向かった。