アニマックエスト 〜堕ちたテンシと目覚めのウタ〜
□第3章:偽勇者。
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さて早速街に到着すると、人々がわいらに群がってきた。
「おおっ!!あなた方も勇者ですか!!?」
「もっ?」
「ってことは、高橋の他にも勇者がいるのかしら?」
「ヨシヒコ―――」
「えっ私どうなるのマジで」
「(まあ俺ほんとは職業:かしゅだけどぉ・・・)他に、どんな人がいるんですか?」
誰もが気になることを聞いてみると、一人の男性が喋りだした。
「数日前、この街に勇者がやって来たのです」
「そうそう。深夜に突然」
「ボロボロになって倒れていたものだからみんなで手当てしまして、今あの教会で休まれているわ」
次から次から喋るNPCに、幸子はんは不意に表情を曇らせた。
「この、気配は・・・」
「えっ!!?永井さん何処行くの!!?」
人々を振り払い、ついでに追いかけてきた直純はんまで振り払い(腕が腹に当たって思いっきり弾き飛ばされた(汗))、一直線に“勇者”が休む教会へと走った。
「間違いない、ここに、彼が―――」
バーンッ!!!!と扉を開け放つと、中央に横たわる一人の男性がいた。
それを見て、幸子はんは険しい表情になった。
「・・・だんます君・・・、君も巻き込まれてたんですねぇ・・・」
「ま、マジかいな、だんます君も行方不明やったとは・・・」
「どーりで最近“リンク”しても分からなかったわけですよぅ・・・。けど、良かったぁ」
やっとのことで追いついた一同も、その光景を見て言葉を失う。
「・・・こいつが、勇者?高橋と言い基準緩くねーか?」
「しっ失礼じゃないんですかぁっ!!?俺の場合は民意の結果ですよ!!?」
「民意て」
「腹部押さえながら反論されても、ただただダサいだけね」
「ふぐぅっ」
そんなアホアホ過ぎるやり取りをシカトして、幸子はんは眠るだんます君に近づいた。
そして、そっと前髪を掻き分ける。この仕草は魔王ではなく女神のようやった。
「ぅっ・・・」
「だんます君、大丈夫ですか?」
「うぇ・・・?―――あっ!!」
「あの声、君だったんですねぇ・・・」
「さっ、サチンさん!!?声って・・・、あっ!!うあーっ!!良かった――――――!!!!!!」
一瞬何のことか理解出来ずにいただんます君やったけど、思い出したようで幸子はんに抱きついてワンワン泣き始めた。
よほど怖い思いをしたのだろう、かれこれ20分近く泣いてからだーます君はここに至るまでの経緯を話した。
「実は俺本社に仕事で来ていたんですが、何故か意識を落としていたんですよ」
「意識が落ちたってことは覚えているのかい?」
「ええ。それで気が付いたら何故かこの世界に飛ばされてて・・・。更には何事かと人だかりが出来てて」
「ふむふむ」