現実(リアル)と空想 〜 パラレル 〜 2

□extra story 水鏡に姿映し。
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―――2014年 11月





「みゃ〜〜〜っ、お疲れです〜〜〜」
「お疲れぇー」






稽古が終わるたびに、永井さんは俺に会いに来てくれた。





別にメールは送ってないし、電話もしてないけど狙ったように確実に来る。ほんと凄い。






「永井さんもしかして・・・」
「みゃ?私があなたに会いたいから来てるんですよぅ?それには何か理由が必要ですか?」
「や、別にないよ」
「それなら良かったです♪」






てっきりまっすん埋め込み型発信機で探知して来てるのかと思っちゃったよ。





彼女ならそれが有り得るから、怖い。






「とも子しゃんから聞いたのですが、会場の近くには水族館があるそうですよぅっ!!」
「あー、エプソンさんのだね。つか品川水族館二つあるからなぁ・・・」
「そもそも水族館だらけですよね。あっちにもこっちにも水族館がありますし」
「うんうん。あ、永井さんはどこが好き?」
「池袋!!」
「うん、よく行けるしね」






定番過ぎるというか、それって単にアニメイトも行くからそのついでに行けるっていうことだよね。






ちなみにこういう流れの場合、永井さん的には「行きたい」という意思表示である。




この短期間でそれだけはよーく分かるようになったよ!!俺元々人間観察は得意な方だし。








「みゃ〜〜〜、直純しゃん次の日はオフですよね?」
「うん、ラジオも当日に録る予定だし」
「控え室でも録れるって凄いですねぇ〜〜」
「その時の余韻と興奮をそのままお届けしたいなって思ってね。機材さえ整えばほんとすぐに出来るよ」
「ほーっ、今度『ラジプリ』でもやりたいですねっ!!」
「・・・それはちょーっと無理だと思うなぁ・・・」
「みゃっ!?」






そんな雑談を彼女と気軽に出来る、ほんと去年までは全く想像もしていなかった。








『きっとサチンとも上手く行くよ』






(英佑さんの言う通り過ぎて、何か腹立つw)





「みゃっ?どーしたんですか、急に笑い出して」
「ちょーっと、思い出し笑いをね」
「あー、あるある、私もありますよぅ」






やはりジワジワ侵食する英佑さんに笑いつつも、心の底では感謝していた。







「じゃあさ、せっかくだし行こうよ」
「みゃっ!?良いのですかぁっ!?」
「うん。近くのホテルにでも泊まって、次の日すぐ直行とか」
「みゃーっ、お疲れではないのですか?」
「疲れてるけど、永井さんめちゃくちゃ行きたそうだし、俺も気分転換したいなーって」
「気分転換好きみゃんですね〜〜。良いと思う」
「ほんと大事だもんね!」






そんなこんなで、あれやこれやと1日限りのオフをどんな風に過ごすか計画しあった。







「そうそう。今ね、カラオケの鉄人で『遙か』のコラボやってるんだけど、それも行ってもいい?」
「みゃっ!!?」






その単語に、永井さんは驚いた。






まあ、この作品は長期でとも子さんと共演したものだから、俺の思い入れも強い。






そう簡単に忘れられるわけないしね、例えアッサリ“決別”したとしても。






「みゃー・・・、むしろ全然大丈夫です。いつも私のわがままばかり聞いていただいてるので!」
「俺のわがままの方が多いけどね。むしろ永井さんはドンドン俺にわがまま言っちゃっていいからっ!」
「じゃあ、ここも行っていいですか?」
「ドンドン言っちゃって!!むしろドンドン逝こう!!」






本当はその次の日普通に仕事なんだけど、この際どーだっていいや(よくないけど(汗))。






・・・それにしても予定みっちりになったなぁ。
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