現実(リアル)と空想 〜 パラレル 〜

□第十一章 miracle prologue。
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2011年 4月













「あなた方の、好きにはさせない!!!!」














岡野さんから渡されたマイクを手に持ち、私は高らかに歌った。
















私の歌に秘められている新たな“力”。

















戦うこと以外、私には何も無かった。














・・・だけど、私の歌を聞いてくれたとも子さんやみなさん、そして、それに気づいた岡野さんのお陰で、私は別の道へと向かうことが出来た。




















『歌は魔法』と、誰かが言っていたのを思い出した。

















まさにそうだと、私は歌い終えたその時、確信した。

















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この出来事の前、未曾有の大震災が日本を襲った。












丁度私のCDのリリースと被り、歌で励まされたというメールや手紙を頂いた。














・・・だけど・・・。













“力”を持っていても、誰一人助けることなんて出来ない・・・。















私は自分の無力さに悲しくなって、何も出来ない自分を責めた。
















そんな中、田村さんがあることを私に提案した。












『時間を空けてあげるから、その時間を利用してその歌を届けたら?』
















他のケーブルテレビ局と繋げるから、歌を届けてほしいとのことだった。


















私は、何かお役に立てるなら、と、その提案に首を強く振った。















―――







日は3月18日。











この日の午後、丁度私達の話が放送されるため、特別に空けてもらえることになった。















「ごめんなさい、森久保さん・・・。あなたの話なのに」
「気にしなくていいですよっ!永井さんがしたいと思ったことを思う存分して下さいよ」
「・・・ありがとうございます」
「にしても、30分って短いよね」












空けられた時間は、本当に番組一本分。















30分間のソロライブだ。















私の持ち歌を何とかかき集めたら、30分という時間を埋めることが出来る。


















「・・・俺、演奏しましょうか?」
















今月の『刀語』再放送時に事情を聞いたほそにゃんさんが、ギターを抱えて立っていた。

















「・・・細谷くぅん、ウザいから消えろ」
「あうっ!!」















田村さんが怖い笑顔を浮かべたまま、ほそにゃんさんを廊下へと連れ出す。
















「ごめんなさい。あとで杉本さんに連絡するわ」
「・・・いえ。ほそにゃんさんの私に協力したいというのがひしひしと伝わりましたので」
「俺も永井さんのお役に立ちたいぃ〜〜〜♪」
「・・・まっすん、キモイ」
「うごっ!!」
















配布されたペンライトを持って、英佑さんに突っ込まれた増田さんは、床に突っ伏した。

















「ちょっと増田さん、恥ずかしいから!」
「英梨ぃ・・・、俺そんなにウザイか!?」
「見事にウザイし、キモイ」
「ぐほんっ!!俺ドMなのは永井さんだけなのにっ!」














喜多村さんに助けを求めたが、助けどころか田村さんから棘のある言葉を吐き出され、完全に突っ伏した。



















「・・・本当にごめんなさい」
「貴女の性じゃないわ。この周りの野郎共が悪いのよ」
「うぐぐ・・・、ご、ごめんなさぁい。頑張って観客演じます!!L・O・V・Eサチン!!はいはいっ!!」
「・・・まっすぅん?」

















英佑さんが完全に笑みを消して睨んでいる。













相当頭にきてるのが分かる。
















「ひぃっ!!本当にごめんなさいいいいいいっ!!!!」
「・・・あのさぁ、そろそろ時間なんだけど。早くスタンバイさせて」
「あうっ!」
「・・・まっすんさぁ、サチンに迷惑しかかけてないよね」
「あううっ!!」















大典さんにまでそう言われ、いよいよ身体ごと地面に倒れた。














・・・ご愁傷様です。
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