現実(リアル)と空想 〜 パラレル 〜
□第五.五章 駆け廻る。
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―――2010年 7月
「えりりん、そこはね―――」
本社内、休憩所。
自慢のギターを持って、國分は喜多村にギターを教えていた。
「うんうん、大分上手くなった!」
「ふぅ・・・。國分ちゃんの教え方が上手いからだよ〜〜」
「いやいや〜〜、えりりんすんごく飲み込み早いもん!羨ましいなぁ〜〜・・・」
「あはは・・・」
週に3回、ギター講習が行われている。
最初は、喜多村が最近買ったばかりというギターのチューニングがうまくいかずに苦戦していたところを、國分が「私が教えてあげるっ!!」と言ったことからこの講習は始まった。
あれから約2ヶ月は経過したが、喜多村の飲み込みは早く、國分も驚いてばかりだった。
「この調子ならプロもいけるんじゃない?」
「あはは、そこまではいいよ。私は単にギターが弾けるようになりたかっただけだから」
「勿体ないなぁ」
講習を終え、二人はギターをケースに入れる。
「あ、私来週から台湾行ってて、講習お休みだから」
國分は帰り際に、喜多村に講習の休みを話した。
「イベントだっけ?世界まで広がるって、凄い!!」
「いやいや〜〜〜、台湾って、親日らしくて、日本と何処か似てる部分があるというか、まるで日本にいるような感覚だからさ」
「行ったことあるの?」
「うん、一度」
お土産買ってくるね〜〜〜、と、その日は笑顔で喜多村と別れた。