現実(リアル)と空想 〜 パラレル 〜

□第六章 In The Back。
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―――2010年









細谷のライブがまだ終了しない中、皆川は岡野から「話がある」と言われ、本社に呼ばれていた。










「どうかしたの?急に話なんて」











監視室のドアを開け、いつものように入ってくる。











だが、岡野の雰囲気を感じ取り、笑顔を作るのを止める。










「―――あっ、すまん。別にそんな重いもんじゃねぇんだ。
今年のマラソン放送のテーマがボイスパワーだから、声優さん達からコメントをもらうことにしたんだよ」
「それで?」
「今年も『テニプリ』を放送するから、しかも去年終えたばっかの『Another Story』!!」
「マジか!?すげえはええ!!てか、早すぎだろ!!」











皆川の突っ込みも軽く流し、書類を手渡す。













「ふ〜〜〜ん、これ、他の出演者の人は?」
「それは放送日までシークレットだよ」
「そうなんだ・・・。大体ラインナップを見たら察しが付くけど」
「まあそうだろよ」











いつも通りか、と言わんばかりの皆川に、岡野は少しだけ顔を歪ました。









だが、出演者の前では常に笑顔でいたい。











「だから、この日にコメント用VTRを撮るから、宜しくな」
「勿論っ☆」
「あと、細谷君ライブ頑張ってるんだってな。杉本達にも言っといてくれよ?無茶はすんなって」
「はいはい〜〜〜」











ひらひらと手を振って、皆川は監視室を出ていった。












「・・・」










―――本当のことを言えば、全てスッキリしただろうか?









岡野は再び、ディスプレイと向き合った。
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