現実(リアル)と空想 〜 パラレル 〜
□第四章 依存と希望。
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―――2009年 6月。
ウイルス騒動から、早くも3ヶ月が経過した。
未だ岡野の肉体は復元できぬまま、奇妙な同居?生活を送っていた。
「岡野ぉ〜〜、聞いて〜〜、今度ね、テニプリフェスタやるんだぜ!」
【ふ〜〜〜んっ。そりゃ凄いな!!こっちも遂にOVAシリーズ、来週からは準決勝だってな。杉本も出てるなんて、最初聞いたときは驚いたぜ?】
「ゆうちゃんの方がここに来るの早かったんだってね。田口さんから聞いた」
【ああ。まあ、川上は開局当初、杉本と甲斐田さんは別の番組からだしな。しゃあないって】
「・・・むうっ、そういうもんか?」
【あははっ、そんなもんだって】
楽しく、くっだらない話をして、いつもが過ぎていく。
「・・・ほんと、ありがとうね」
【んだよ、改まって】
「テレ東の再放送も結局、一年間だけだったじゃない?だからちゃんと全部してくれて、私の約束を信じてくれて・・・、
・・・ありがとう」
【・・・んぐっ、俺、そういうの苦手なんだよ・・・】
「あはは〜〜〜っ」
そこで、会話が途切れる。
皆川の中にいる岡野は、少し居心地悪そうにした。
中にいて、気づいたことがある。
黙っていても、隠していても、その人の本当の感情が、ダイレクトに伝わることを。
テレ東の再放送終了の時、皆川は相当ショックを受けていた。
私の居場所は、もうそこには無いのだと。
寂しい
辛い
悲しい
実際口に言わずとも、岡野には全て伝わる。
それは、嫌でも・・・。
(俺の思ってることは伝わらねぇみたいだけど、不公平だよな・・・)
笑顔の裏にある、本当の感情。
(小野坂さんにも打ち明けらんねぇのか?)
言えばきっと、相当心配されてしまう。
(・・・参ったもんだな)
岡野は静かに、“溜息”をついた。