現実(リアル)と空想 〜 パラレル 〜 2

□extra story 水鏡に姿映し。
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―――それは、【夏祭り】が終わった直後のことだった。








『この後もツアーが控えていらっしゃるんですよね?チラシが入っていたので』
『えっ、あ、うん。今度は俺名義の方』
『―――分かりました』
『何がですか?』
『私も行っていいですか?品川公演だけで良いので』







そして、永井さんは言ったその日のうちにチケットを入手したのだった・・・。




俺もビックリの早さだよ。







そんなわけで、それからちょこちょこと連絡を取り合うほどの仲にまで一気に進展した。





う〜〜〜ん、喜んでいいんだよね?喜ぶところだよね。








「いや一緒に映画観に行ったり観覧車乗ってる時点でそこそこ仲いいだろ」
「そこからぁっ!!?気づかなかった・・・」
「だからお前は鈍いんだよ・・・。直“純”じゃなくて直“鈍”だろ?」
「糸へんじゃなくて金へん!!?」






この間のお礼と誤解解きに智一さんと話して以来、関係性が【親友】にまでランクアップした。









『・・・無事戻ってきて、ほっとしたぜ』






その時来てすぐ、智一さんは少しはにかむようにそう言ってくれた。






とも子さんの件で“過去”を悔やんでいた部分と永井さんのことで踏み込めずにいた“関係”を全て話すと、うんうんと静かに頷いて俺の話を聞いてくれた。







『永井さんもな、お前のことで相当悩んでたみたいだぞ』
『あー、聞いてます。ライブDVDとか写真集とかを三木さんと二人で集めてくれたって。それもありがとうございます』
『チームメイトだけどあんまり顔合わせしないから、ってな。俺もお前のことあんま分かんねーから』
『ひどっ!!』
『まぁ、それで長沢ちゃんが勧めたんよ。「これで知ったらどうですか?」って』
『ん?その流れだと、アドバイスしたのは智一さんじゃなくて長沢さんじゃあ』
『お金出したのは俺だし、行動したのも俺だから最終的には俺だろがっ!!』
『えーっ』






まあそんなわけで、こちらも前より一層親しくなった。





むしろ今の方が昔よりも喋りやすい!!智一さんって―――






「面白い人ですねぇ〜〜」
「それは俺を貶してるのか?」






何故か睨まれた(泣)。
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