現実(リアル)と空想 〜 パラレル 〜 2
□IFルート:過去の破片。
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―――ありがとう、大好き。/2004年8月18日
―――・・・けど、これで俺も杉本さんと同じですね。/2010年8月11日
―――貴女が遺してくれたものが、どうか、私にとってかけがえのないものになりますように。/2011年6月29日
―――
今まで行ってきた人達は、それぞれの思いを抱いて、そして立場もそれなりにある人達ばかり。
また、他にもCDを何枚も出していたり、イベント出演している人はたくさんいる。
――――――それなのに、何故自分なのか?
そりゃ自分だって、歌は歌うし全国ツアーも行う。
だけど、【見えない何かを背負って挑む】のは数回あるかないかだ。
しかしそれは、深く傷ついた彼女よりも、薄い。
―――
2013年 某日
テニプリフェスタを間近に控えたある日、仕事の合間にまた仕事。
(アルバム、どんな風にしよっかなぁ)
今年の12月にリリースする、ブン太のデビューアルバム。その製作の途中だった。
しかも今回は史上初、中の人が歌うPV付き。さてこれが売り上げにどう出るか。
(ん〜〜〜、フェスタ自身もどうしよ)
春に皆川さんがセカンドライブを行ったそうだが、仕事の都合で見に行くことが出来なかった。
つか、何故主役のライブが見られないのかが不思議だ。俺結構気になるのに。
(永井さんのライブも見られてないし、いや、「見に行かない方がいい」って檜山さんが言ってたな)
『あいつ、今とも子さんの事で傷心してるから、直純には申し訳ないけど見に行かないでくれ』
“交わした約束”が叶うことはなく、とも子さんは息を引き取られた。
もしその立場が俺だったら、俺だって傷心してそれどころじゃないと思う。
(・・・いや、とも子さんからは何とも思われてないだろな)
永井さんだからその約束を交わせた。
俺なんか、見向きもされていないだろう。現に俺自身のライブには一度も来られていないし。
(あー、何か気分転換しよ)と、俺は椅子から立ち上がって外を見た。