10/09の日記
19:34
あれやあれやとなんてかと。>10月9日 2。
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◆追記◆





―――2021年 10月9日 都内某所




「地震の影響は、幸いなかったから良かったわ。ここ1週間は警戒してなきゃだけど、この調子ならイベントもちゃんと出来そうだし」
「気をつけるに越したことはないけどね」
「純子の言う通りだ。イベントは家に帰るまでがイベントやからな!!」
「まさヤング、そんな遠足みたいな」




明日のイベントに向けて、念入りな準備が進められる。


感染対策は5月に比べると多少緩和したとは言え、それでも観客への対策の義務や私たち出演者側とスタッフの接触機会を減らすこと等々、制限は相変わらずあった。





「英佑さんは「マスクが外せたらいいですね」って言ってたけどね」
「んーまあ・・・、それが理想だけど、なかなかそんな状況には戻らないよねえ」
「むしろ、こうして最低限さえ守れば人を入れてイベントをしてもいいってなっただけ、間違いなく前進しとるやろ」
「まあねえ」




感染症云々は確かに前進してるけど、今度は自然災害だからどうしようもない。



令和になってから、落ち着いたことって殆どない気がするのは何でだろう。それは流石に言いすぎか。





(ほんと、生きてるのが息苦しくなってくるな。今までが奇跡過ぎるというか)







――――――生きていることが本当に幸せか?




そういう問いをよく目にすることがある。


そりゃあ、生きていれば様々なことにあう。それは当然、良いことも悪いことも。


良いことばかりが続けば、人生は楽しい。誰だって嫌なことは起こってほしくない。




でも実際は、嫌なことの方が起こりえる。と言うか、頭の中で嫌なことばかりを考えてしまう。







―――死んだ方がいっそ楽なのか?




心身ともに絶望に陥った時、そう考えることもある。


こんな嫌な“世界”からいち早く抜け出した方が、幸せなのではないか?



柵を全て捨て去って、何も考えなくなる方が。






(・・・いや、あいつはそうじゃなかった。自分の立場もあるだろうけど、少なからず、楽にはなっていなかった)





『・・・はあ、死んだ身って、生きてた時以上に制限狭まれちゃうよね』


『死んでも苦労するって、めちゃくちゃ笑えないよねー』






―――生きることも死ぬことも、人によったら“重い”。どちらが良いと言えるわけがない。



ただ、その重さが分かるのは、自分だけ。






(私は、私が思う以上に、この状況を甘く見ていたのかも・・・)





一方的にこの“世界”に巻き込まれて、野島君や色んな人に攻撃されて、大きかったり小さかったりするが、何かしらの騒動が起こる。




それにただ振り回されていただけかと思ったが、ここに来て、他の誰でもない、“私だけが決めなければいけない事態”になった。





(例え私が狙われたとしても、襲撃の時はみんな一緒になって凌いでたから、一人じゃなかった。・・・でも、初めて私だけで決めないと、今度こそ“世界”が滅ぶ)






永井やほそにゃんは、様々な“軸”の可能性があったからまだ良かった。


しかし、私にはその可能性が最初から無い。


例え私が軸越え懐中時計を持っていて、“軸”を行き来して川上を生かせたとしても、どの川上を助けたかで誰かの“軸”が壊れてしまう。






(もしほそにゃんや永井だったから、ぶち殺されて結局死ぬな、私。ほそにゃんは私がいることでゆうちゃんが死ぬ“世界”を知ってたから、昌也と対立したんだし・・・)






延々に考える、生と死について。歳を重ねるごとに、嫌と言うほど考えされてゆく答えの出せない問い。



よほどのことがない限り、考えたくない自分の死について。




それをずっと考えているのに、見えてくるどころか余計に頭が混乱してくる。


耐えられなくなって、現実から目を背けていた時期もあった。





『現実逃避は、良いものでした?』




この間、杉田君にそう言われて、ハッとした。




逃げていたことを良いものだったかと聞かれて。てっきり「あー、ですよね」と煽られると思っていたから。





その予想外の指摘に、「良くはなかった」と返した。



分かっていた。


逃げ続けたところで、問題は一向に解決しない。むしろその間に貴重な時間を喪って、どんどん解決から遠ざかってゆく。






『方法なんざ、当日実行した方がはえぇだろ。答えが明確なら、自ずと見えてくる。いくらゴチャゴチャ考えても、実際に起こらねぇと方法も何もないだろ?』




先週、昌也に吐露した時、そう言ってくれた。



いくらあれこれ考えたところで、実際に起こらないと対策のしようがない。




当日になって明確な方法が分かるかもしれない。永井達がそうだったように。






(ここに来るまで、私には直接関係しなかった人達が長年模索して、最悪から足掻いて、自分達の答えを掴み取った。それが例え、禁忌だったとしても)





当然、公に出来るものではないので一部の人しか知らないが、直純さんが永井に行った儀式は、例え【神】の権限下だったとしても絶対にやってはいけないことだった。



情報そのものが壊れた人を1から作り直すことのは、“転生者”でさえ出来ない。それを簡単にやれてしまうと“世界”は狂うし、直純さんは完全に【人】ではなくなる。



見逃されたのは、“魂”の崩壊の原因がアマテラスだったことと、その直前にイザナミが発現したから。2人の【神】が関わっていたからと言う理由だけだった。






ほそにゃんに関しては、ゆうちゃんが原因で様々な“世界”を滅ぼしている。


時には関係ない人を殺し、時には完全な“邪神”と化した直純さんを殺して・・・。




“ただ1人の大切な人”を救う為の犠牲も、同じくらい大きかった。






(はあ、我儘になりきれないわあ・・・。騒動に巻き込ませている時点で駄目なんだけどさ)





同じことをグルグルグルグル。延々巡って、私を静かに追い詰めてゆく。





答えはある。方法は考えている。ただ、当日無事に終わるのか、それだけが心配の種だった。

2021/10/09 19:34
カテゴリ: SS。
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