10/09の日記
11:55
さあ、どうしたもんかな。>10月9日。
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◆追記◆




漠然と振り返った時に、“今まで自分のしてきたこと”に意味があるのか問うことがある。



(・・・分からない)




果たして意味はあったのか、それとも、ただ無意味だったのか。


それを答えられる人は自分しかいない。誰かが答えを言ってくれるわけじゃない。




**




『君は、そんなに私のことが大切だったんだね』





私の関係性を“リセット”された状態で2001年に飛ばされた時、何とか現状を打開して鍵を見つけた私に、川上はそう言った。



うっかり10年後に死んだと言ってしまって血の気が引いたが、川上はそっか、とだけ言って、笑った。




『10年後の“未来”には私はいないけど、君が私を大切にし続けてくれるのなら、“私はずっと生きていられるよ”。君の中で』





その姿が、数年ぶりに会った川上と全く同じだった。まあ、川上だから同じなのは当たり前なんだけど・・・。




元の時代に戻る直前、川上は最後に1つ言うね。と言葉を贈る。





『君は、「自分の行動に意味があるのか分からない」って言ってたね。確かに、行動したからと言って、その全てにちゃんとした意味を持つことは難しい。空振りだってあるしね。でもね、これだけ忘れないで』





―――自分の気持ちを、捨てちゃ駄目だよ。




『どうしてもうまく行かなかったり、誰にも助けてもらえなかったりして君はまた、めげちゃうかもしれない。今度こそ「あーもう駄目だー」って諦めちゃうかも。でもね、絶対に“自分の気持ち”だけは捨てちゃ駄目だよ?どうしても譲れない、絶対に退けないことに巻き込まれたら、その気持ちをバネにして踏ん張ってね!「こなくそーっ!!折れるもんかーっ!!」って』





そうしたらね、




『必ず、空回りだった行動にも意味が出てくるから。あの時は失敗したーと思ったことも、回り回って良かったことになるから。だから、見失わないでね?自分の大切なものまで捨てないでね』





落ち着かせるように手を伸ばし、消えてゆく私を見つめる。最後まで、真っ直ぐに。





『・・・―――』




意識が途絶える直前に、川上は僅かに口を動かした。



それを何と言ったのかまでは、私にはもう分からなかった。




**




―――2021年 5月9日




『ですから、こういう時はこう言えばいいんですよぅ。―――「元気になって良かったね」って。きっと、これが一番、直純しゃんから言われたい一言ですから』
『えっ?』
『今回の進行は、関東大会決勝戦をメインにしてたじゃみゃいですか。幸村が復帰した全国大会決勝でも、病気が完治した状態で置鮎しゃんと戦う『新テニ』でも、その先の未来で諏訪部しゃん達と戦う『氷帝vs立海』でもない。死ぬか生きるかの不安定な中、失望から絶望に落ちてしまって、もう明日すら来ないんじゃないか?と思っている状態』
『・・・そう、だったねぇ』
『ですから、最後にそう、言ってくださいな。それで今日のことも、それに、今までのことも完全に終わるんです。明日は“明日からのこと”が新しく始まりみゃす。それはきっと、直純しゃんも、それに、私もきっと素敵なことになると思いみゃすよ。こうして“生きてる”んですから』
『!』




『―――元気になって、ほんとーに、ほんっとーに、良かったねぇ』
『はい!』






これは、直純さんと永井の“記録”。



【神】になりかけていた直純さんと、デメリットを一身に受けて“魂”がボロボロになっていた永井。




もうすぐその“魂”が完全に壊れる=死ぬのでは?と言われて、いよいよその時を迎えてしまった。





(これは、直純さんが永井のことを考え続けたから、元に戻すことが出来た)




当人は「仕事以外のことも覚えていたら良かった!!」と嘆いていたが、記録を見ているとあれでも充分だと思った。実際足りたから、永井は永井に戻ることが出来たわけだし。





かく言う永井も、その前に“いつの間にか消えてしまった”直純さんを助ける為に、軸を越え続けたらしい。




その壮絶な“記録”の最後を見た時は、あの永井が誰か1人の為にここまで身も心もボロボロにしていたのか・・・と愕然とした。





そんな経緯があったから、この“記録”がある。





―――この二人の背景にも、川上の存在はいる。




直純さんが消えてしまった原因を作ったのは川上で、5月に行ったイベント会場は川上に深く関係していた。





川上と永井、直純さんにとって2人は似てる存在。・・・でも、“片方はいない”、“片方はいる”。それをはっきりさせたのがこの“記録”だ。




ずっとあやふやだった答えに、2人は遂に終止符を打った。





(直純さんは、永井を選んだ。“共にいたい存在”として)





完全に切り替わったことで、あの2人から川上は普通の存在になった。“世界”にとっては特別ではあるけど、自分達とはもう関係のない人物。




・・・仕方ないこととは言え、それは少し寂しかった。




記憶から消えたわけではないが、川上がまた1つ、消えた気がして。





(それは私が、あいつに依存しているところがあるから・・・?出来ればみんな、川上のことを考えてほしいと思っているから)





これは、私の我が儘だ。相手に自分の我が儘を強引に押し付けるのは違う。





そっと“記録”を閉じて、重い息を吐いた。






―――私は、どうしたいんだろう。

2021/10/09 11:55
カテゴリ: SS。
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