ジョジョ(スタプラ・承太郎etc)
□当時はビデオ
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旅を進めて2週間。
ジョースター一行はシンガポールへとたどり着いていた。12月だと言うのにこちらでは蒸し暑く、雨季のためかスコール情報が流れている。
ゆうさはと言うと女性と言うこともあってか、個別に用意された部屋に閉じ込められるような形でベッドに転がっていた。
「ホテルのプールとか入りたかったなぁ」
ガンガンに冷やされたこの部屋のエアコンをいじりにベッドから降りる。シングルとはいかないようで、ツインのベッドが冷気に当てられていた。
「今のところ切っちゃお」
ピッとOFFボタンを押してまたベッドへと戻る。しかしさっきとは違って見知った影がもう一つのベッドに腰をかけていた。
「スタプラ、どうしてここに?」
確か隣がみんなのいる部屋だ。呪いのデーボ対策でスタープラチナをこちらに寄越したんだろうか。
(向こうにはたくさんスタンドいるからそういうことかな。ピンチなら戻るだろうし)
楽観的に考えるのは彼女のいつものことで、あまり難しく考えることなくスタープラチナが腰掛けてるベッドへと寝転んだ。
「スタプラ、私は暇だよー!」
そう言われてもスタープラチナはただ無表情にゆうさを見つめているだけだ。本当にボディガードとして送られてきただけなのだろう。
「む、疲れた足にマッサージとかできない?」
チラッと横目で見ると、立ち上がるスタープラチナが映った。ドキドキと期待していると、少し冷たい手が足の裏に当たるのを感じた。
「まさか、足裏!?」
しかし一瞬考えた。承太郎だったとして誰かのマッサージをするだろうか。否、自分の足つぼくらいだと。
浮遊しているためか、ベストな角度で足の裏をフニフニされる。時に痛いこともあるが、基本的には手加減しているようだった。
「あっ、気持ちいいっ」
悪いところが何処かわかっているかのように、足全体を包み込んだ手は優しい手つきで揉んで行く。
「そこ、いたっ、でも…気持ちっ…いいっ」
もう片方の足も丹念に揉んで行く。もうマッサージ師としてやっていける、なんて考えて自分のスタンドにも欲しい機能だと思いつく。しかし彼女のスタンドは楽器だった。
教え込んだら全身マッサージだってできるんじゃないかと思ってスタープラチナに提案してみる。
「こことかこっちにもできない?」
太ももとふくらはぎを指差す。すると手が止まり、足から手が離れた。今度は太ももに手が触れる。
(なんだ、できるんじゃん)
大人しくうつ伏せになる。しかし手は太ももから離れスタープラチナは辺りをキョロキョロしていた。そして何処かへ行ったかと思うと、手に小瓶を持ってまた現れた。
「なにそれ?」
うつ伏せであまり見えないゆうさは足にかかる液体に少しおどろく。しかし次の瞬間スタープラチナの手が太ももをなぞり、マッサージをし始めた。
(このコ、オイルマッサージまで…!?)
期待以上の行動に承太郎が羨ましくなる。なんだこの完璧スタンドは、と。
優しい手つきでなぞる手がくすぐったい。強くなく滑らせるように運ぶ手はなんだかマッサージというより、愛撫に近いがゆうさは気づかなかった。
「なんか、これはくすぐったくてっ、んっ……」
何度も内側を往復する手に敏感に反応してしまう。
「あぁ、んふっ…変なっ、声が…でちゃっ…うよぉ…」
身体が熱くなってくる。
敏感になり始めたゆうさはだんだんと違うものを欲しがっている自分に気づいた。
(だめ、これはマッサージをしてくれてるだけっ)
「もう、大丈夫っ…スタプラ…ストップっ」
これ以上触れられたら…とやめてと言った。素直に従うスタープラチナは不思議そうな顔をする。反対に息が上がっているゆうさはその素直さ以外のものをどこか期待していた自分がいることに気づいてしまった。
「ご、ごめんね」
謝られたことに反応してか、覗き込むように顔を近づける。
(ああ、やばいって、キスしたくなっちゃうでしょ…)
相手は承太郎のスタンドだ。人間ではない。それに、スタンドと本体は同じ痛みを味わっている。ならば、感触ですら同じように感じるのではないか。
ヒーラーなスタンドのゆうさはあまりわからないが、予想くらいつく。
(これが承太郎の気づかない寝ている時だったらいいのに)
そんなことを考えながらスタープラチナを見つめていると、突然起きな音がした。
バタンッ
「え?」
「ゆうさ!ポルナレフがデーボにやられたらしい、手伝ってくれ…な…い…か……あぁ!?」
花京院の驚きのあまりうわずった声が飛び出した。ゆうさはここまでの状況に驚いて固まっている。しかし、花京院がまた大声を出して我に返る。
「大丈夫かっ!エメラルドスプラッシュぅう!!」
ハイエロファントがスタープラチナ目指して攻撃したが、華麗にスタープラチナはゆうさを抱えひらりと避けた。
「待って待って!何やってるの!落ち着いてぇー!!」
突然の花京院の行動にゆうさはもう混乱していた。花京院はと言うと、艶かしく光る足の上に覆いかぶさるように身を乗り出してるスタープラチナが…と顔を赤くしながら思い出している。
叫び声を聞いた承太郎が花京院の背後から駆けつけてきた。
「なにかあったのか」
「承太郎!君のスタンドはどうなってるんだ!」
「はぁ?」
わけが分からないと言った顔で花京院をみる。その後ろにスタープラチナに抱えられたゆうさの姿が見えた。
(どうなってるんだ…)
「スタープラチナッ!!」
戻るよう声をかける。出した覚えのないスタープラチナが戻ってくると同時にゆうさが床に落ちそうになる。
「ハイエロファントっ」
とっさにゆうさを支える。そして花京院は寄り添いにいった。心配そうに声をかけた彼に対し、ゆうさは少し怒って言った。
「あれはマッサージしてもらってたの!何勘違いしてるの!」
「え、」
「オイルマッサージしてもらってて…もうっば花京院!」
プンプンと怒りながら部屋を出て行くゆうさを他所に、焦ったり、落ち込んだりする花京院が残された。
「やれやれだぜ…」
何と無く察しがついたのか、帽子の唾を下げるようにして呟いた承太郎。しかし、自分が出した覚えのないスタープラチナがここにいたことは頭を悩ませることになった。
「あ、承太郎ってオイルマッサージなんて出来たの?」
「いや」
「…ふーん」
(オイルマッサージ?あぁビデオなら見たことあるな)
(あ、もしやビデオか。男の子だねぇ…)
(スタープラチナがゆうさを好きになるという感情があるわけがないよね、ね、ハイエロファントグリーン)
((………))
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