ジョジョ(スタプラ・承太郎etc)
□それは内緒の(番外編)
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承太郎は夢を見る。
縁側に腰掛けた自分の隣でゆうさが笑って何かを話している。
それがとても幸せそうで、承太郎は嬉しくなった。
ゆうさは昔から自慢の姉だった。
運動はそれなりだったが、頭はよく、優しくてそして美人だった。弟の承太郎がみても憧れる存在だった。中学高校と一緒に通って、姉があんなにモテるのだと知らされたときはショックだった。
そして、自分にだけ優しいわけではないことも知った。
相変わらず、夢の中のゆうさはずっと微笑んでいて、承太郎を見つめてくる。
「私と一緒にいるのは好き?」
夢の中だからと素直に頷いた。
(好きだ。ずっと)
だけど承太郎はそれを口にしたことはない。言えるわけがなかった。
「素直すぎ、本当に承太郎?」
楽しそうに笑うゆうさ。
「高校に入ってなんだか口も悪くなって、小さい頃は素直だったのに」
(いつからだろうか。気持ちを隠すために、より近づかないよう夜遅く帰り、話しかけられても極力会話をしないでいた。話しかけてしまえば、ばれてしまうと恐れていた)
学校が別になったとき、彼は寂しさと安堵を感じていたのも事実だ。しかしそれは手に入れられない実の姉を好きになるという『現実』を彼に突きつけた。
そっとゆうさの頬に触れてみる。夢の中の彼女はこんなにも手に触れられる場所にいる。このまま夢の中にいたいという気持ちを悟ったのか否か、不思議そうに尋ねてくる。もっと見ていたくて顔を近づける。何の疑いもなく純粋に向けてくるその表情は、戸惑いと期待が見え隠れしていた。
(そんな顔をするからだ・・・)
近づいて唇に触れた。それは柔らかくて本当に夢の中なのかと承太郎を悩ませる。
「承太郎・・・?」
「ゆうさ、好きだ」
現実で言えない言葉がつい出てしまった。言ってしまうと止められなくてゆうさを抱きしめる。彼女の心臓の音が早くなっていくのを感じてこのまま二人で幸せになってもいいんじゃないかと承太郎は考えていた。
「こ、こら!承太郎!ハウス!」
照れ隠しなのか犬のように扱ってくる。
(こっちは犬じゃあねぇんだよ)
わからせようとまたキスをした。今度は犬が出来ないような甘いキス。ゆうさの唇から漏れる小さな声が、一層止められなくしていた。
(あぁ、やべぇ・・・)
このままシテしまおうか。
そう思った矢先、ハッと目が覚めた。目の前には自分の部屋が映る。
(ちっ・・・)
火照ってしまった体をどうにかしようとトイレへ向かおうとした。障子を開けて縁側を見ると、ゆうさがそこにいた。
まだ夢の中にいるのかと錯覚してしまいそうだ。
「姉貴、また起きてんのか」
「あははh、なんかね」
ごまかし笑いをしてゆっくりと顔を背けられた。
(もしや、寝言でもいっていたか?)
しかし寝るといって部屋にもどっていく
ゆうさをぼーっとみていた。
「ああ、おやすみ」
寝ぼけた頭で言ったその台詞にゆうさが反応したらしい。
「おやすみ、承太郎」
その表情はとても優しいもので、夢の中の出来事を思い出して顔を手で覆った。
この出来事がスタープラチナとの出来事など知る由もなく。