ジョジョ(スタプラ・承太郎etc)
□それは内緒の
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承太郎がエジプトから帰ってきてからしばらく経って、夜にふよふよと浮いてる人影を目にするようになった。
最初は幽霊かと思って目を丸くして固まってしまったけど、無表情でこちらを見つめる姿が何処か承太郎に似てて、すぐに怖さなんて感じなくなった。
(そういえばエジプトの旅に行く時に悪霊がついたとか言って母さんをこまらせたんだっけ)
大学に行って帰ってくるともうエジプトに行く話を祖父としていたからあんまり覚えてないけど。
母さんが心配だったのもある。
そういえば私は置いてきぼりだったなーなんて色々思い出していると、目の前の幽霊がまだこっちを見つめている。
(えーっとスタンドだったっけ)
少し近づいてよく観察してみる。
姿は人に近いけど、褌だし、ほぼ裸。
うーん、いい筋肉をお持ちだけど。
「あなた、承太郎のスタンドさん?」
話を振ってみるけど返事はなし。
ただゆっくりとこっちに近づいてきた。
「なあに?」
すると私の手を取り縁側の方へ連れて行こうとする。手が触れたことに驚いた。
「外へいくの?」
なにも返事は返してくれなかったけど、握った手が強くなったのを感じた。
仕方ないなーと思いながら一緒に縁側へ。
スタンドさんはぬっと障子を抜けて行ったけど私の手は障子に弾かれた。
それに気づいたのかパッと手を放してくれる。
「ごめんね」
障子を少し開けて外へ出てみる。
空には月明かりと輝く星々が私たちを照らしてくれた。
「今日は素敵な夜だったんだ」
夜空に少し夢中になっていると、また手を取られた。そして空を見上げもう一つの手で星を指差した。
一体どういうことだろうと考えてみる。さっき私は彼に尋ねたことと関係あるのかしら。
「星がどうしたの?」
なにも思いつかない私は尋ねてみる。
スタンドさんは星を指した指を自分に指し始める。
名前を言いたいんだろうか。ああ、もしや喋れない?
「星って名前?」
すると口がゆっくりと動く。
星とは全く違う動き。最初に唇を突き出したからスターかな?後半はわからない。
「んースターさん?」
すると少し目が優しくなったような気がした。
やっぱり怖くない。
握っていた手を私の頬に当てて唇をまた動かした。
ーゆうさと、
「私の名前?知ってるの?」
ああ、そうか承太郎のスタンドだから。
「今度、ちゃんと名前を聞いておくね。スターだけじゃなかったでしょう」
嬉しかったのか、また微笑んだような気がした。
なんだか可愛く思えてきた私はおかしいのかもしれない。
しばらく二人で星を見ていると、すっーっとスターは消えてしまった。
突然いなくなったのでなんだか寂しい気持ちになって、また現れないかとキョロキョロしていると、承太郎の部屋の障子があいた。
「…何してる」
「…星をちょっとね」
承太郎は眉を寄せてこちらを見てくる。
「承太郎は…トイレ?」
「あぁ…」
のっそりとトイレの方へ歩いていくのを見ながら、そうだ、とさっきのことを聞いてみることにした。
「承太郎のスタンドってなんて名前なの?」
「突然なんだ」
ちらりとこちらを見てくる。
「ちょっと気になって。皆してスタンドスタンドって言ってたから」
そんな言葉に納得したかどうかわからないけど、また眉を寄せて興味なさげにトイレへと歩いていく。
「…スタープラチナ 」
私はふふっと笑った。弟の不器用な優しさと名前がしれたことに。
その日スタープラチナはもう出てこなかった。承太郎に早く寝ろとぶっきらぼうに言われたので寝ることにした。
今度会えたらその時はちゃんと名前を呼んであげたいなーなんて思いながら。
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