しょーと
□雨桜
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「………ん…」
雨音がポツポツと屋根に跳ねる音がする。
いつのまにか眠ってしまったらしく静かな部屋の中に一人、眠っていたらしい。
ふらついた足取りで窓によって真っ黒な夜を眺める。
「あれ…」
何も見えない暗黒の世界に映る僕の頬は濡れていた。
「チャンミン…」
背後から温もりを感じた。
振り返れば溶けそうなほど優しく微笑む貴方。
「チャンミン…泣いてるの?」
「…泣いてなんか…っ…」
「うそ、泣いてる。」
ユチョンが僕の濡れた頬に口付ける。
「……ん…ッ」
唇は額、鼻の頂、そして唇へ移動する。
唇が離れ、ユチョンが言った。
「…外はね、桜がさいてるんだ。」
「今から見に?」
「もう暗いから駄目。
明日の朝、見に行こう?」
「はい。」
そしてユチョンの温もりの中で眠った。
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