しょーと
□少しだけでいいから
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行き場のない溜め息をついて窓から月を見上げた。
「…そんな目で見るなよ」
冷たく残酷な月。
此方を見下している、なんて思ってしまう。
「は…っ…」
力なく笑おうとしても声がでない。
鼻の奥がつんと痛み目柱が熱くなる。
しんとしたリビングは冷たくて普段の皆が笑い合う場所なのが嘘のようだ。
「…ばっか…みてぇ…」
目柱を片手でかばって
込み上げる感情を抑えるように唇を固く噛んだ。
「………っ…」
抑えきれない滴と嗚咽は止まることなく、
俺は力なく壁に崩れ落ちた。