その他CP-1
□【いとしきひび】
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「あぁん、ウィルったら。こんな所にいたのネ〜」
終業後、管理課の片隅でデスクにもたれ、立ち話をしていたウィリアムとロナルドの元へ、グレルがスキップしそうな勢いでやってくる。
「あれ。サトクリフ先輩、まだいたんスか?」
「あぁら、ご挨拶ネ。いちゃ悪い?」
うろんな目でねめつけたかと思ったら、コロッと表情を変えて、
「今日はね、ウィルとデートなの、デート」
キャッ言っちゃった、と乙女くねりしているグレルは放っておき、不機嫌そうに眉根を寄せ眼鏡を上げるウィリアムに問う。
「今日、サトクリフ先輩とデートなんスか?スピアーズ先輩」
「そんな訳ないでしょう」
グレルが唇を尖らせて不平の声を漏らす。
「今朝から言ってるじゃない、ウィル。今日は、アタシ達が初めて会った記念日だって。レストランも予約済みよ〜」
「だから。お断りすると、十回は言ったでしょう」
「ンもう、ウィルったら照れ屋さん…うぐぐぐぐ」
オーバーアクションで胸に飛び込んでこようとするグレルの片腕を取って、ウィリアムは後ろ手にねじり上げる。
「グレル・サトクリフ。勘違いもいい加減にしてください」
「そうそ。スピアーズ先輩は今、俺と付き合ってるんスから」
「なっ…!」
「へっ?」
ロナルド以外の二人が、頓狂な声を上げる。