トモコレ-2
□【トモコレ日記:44】
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翌朝、俺たちは目覚まし時計のアラームで目を覚ました。腰が痺れるように甘く疼いて瞼を開くと、ほぼ同時に開いた黄緑の瞳と目が合った。
俺たちは互いのものを握り込んだまま、朝を迎えていた。それに気付くと、慌ててアランは掌を離してしまう。シーツから覗く肌は、何処もかしこも恥じらいの色を見せていた。そんなアランに、片頬だけを上げて笑む。
「おはよう、アラン」
「おは…ぁっ…」
握ったままだったアラン自身に柔らかく力を加えると、掠れた喘ぎが上がる。
「エリック…!」
アランが慌てて俺を非難する。今日はアランは朝番だったな…。そう思い、俺はアランを解放する代わりに、おはようのキスをした。まだ時間は少しある。俺はアランに切り出した。
「アラン、お前、俺んちに住まねぇか?」
「えっ」
アランは驚いて目を見開く。
「でも、隣だぞ」
「だから。お前、夜帰っちまうだろ。毎日、こうやって一緒に眠ろうぜ」
再び、アランの頬に朱がさす。『こうやって』の意味を悟ったのだろう。黄緑の瞳が戸惑いに揺れたが、しばらくあってから答えは返ってきた。
「………うん」
俺は嬉しさに、笑いながらアランをキツく抱き締めた。
「よし、すぐ引っ越そう!」
「ん…エリック苦し…」
アランが小さくもがくから、俺は戒めを解いてベッドを出た。クローゼットに向かい、部屋着を着る。今日は休みだった。
「アラン、身の周りのもの持ってこい。服は着替えに帰れば良いから」
「うん」
昨日脱がせたままになっていたジーンズを拾って手渡すと、実感がわいたのか、アランも嬉し恥ずかしといった風にはにかんだ。服を着て、着替えに一度部屋を出る。
戻ってきたアランは、大きめのトートバッグを提げていた。日常の細々としたものを、詰め込んできたらしい。洗面所に出入りしては、このささやかな『引っ越し』を終わらせた。
「じゃ、エリック。曲作り頑張って」
「ああ。気を付けて行ってこい」
「行ってきます」
軽くアランの踵が上がり、俺たちは唇を触れ合わせた。アランの両掌が、俺の頬を包む。この幸福感を、音符に乗せれば軽く2〜3曲は出来るだろう。
名残惜しそうに片手を握り合わせながら、アランはバイトに出ていった。
メンバーに電話しなければならないが、まずは髭を整えに洗面所に入る。シェービングクリームを付けて髭を剃りながらアランの引っ越し荷物を眺めるも、アランは髭が薄いのか、髭剃りは運び込まれていなかった。
代わりに、俺のパープルのカップと歯ブラシの隣に、ホワイトのカップとアランの歯ブラシが並んで陽射しを受けていて、その光景に俺は瞳をすがめてひとつ微笑んだ。
End.