小話纏め-3
□【牡丹灯篭】
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七月七日のジャパンの祭りでは、ユカタという簡素なキモノを着て夏の夜を楽しむのが慣わしだという。
俺はちょっと興味がわいて、回収ついでに、ジャパンの図書館に寄って調べてみた。すると、華やかな柄の入ったユカタを着た女性の写真が載っていた。
アランに、似合いそうだ。そう思うと、口角があがる。
その本には、着付け方も載っていて、『絶対に忘れないキモノの合わせ目』という項目が目に入った。何々…『キモノの合わせ目は、右利きの男性が後ろから女性の胸に手を入れやすいように左前に』とある。
なるほど、絶対に忘れられないな。
そのユニークな手解きに声なく笑った。次に目に入ったのは、『キモノを着る時は、下着の線が出ないように、下着をつけない』という文章だった。
青天の霹靂だった。そんな美味そうな民族衣装があるなんて。何とか理由をつけて暗がりに連れ込めば、そのままコトに及べるって訳だ。
だけど当日、理由を見付ける必要はなくなった。アランの方から、ひと気のない場所に誘われたからだ。
祭りを楽しむ事は出来なかったが、また来年がある。いつもと違った装いで、いつもと違った場所でする営みは、俺を──いや、きっと俺たちを楽しませていた。
エリアラ【牡丹灯篭】に続く。