小話纏め-3
□【ミルクティーみたいな君】
1ページ/1ページ
終業まであと少し、俺は報告書の仕上げに追われていた。エリックさんは当てにならない。
エリックさんとパートナーを組んでまだたったの数ヶ月だが、それだけはすぐに分かった。
回収には早々と出るくせに、デスクには殆ど寄り付かない。たまに居ると思ったら、居眠りしてる。
でも、誰にでも得手不得手があるものだ。こう悟るのには、三日で済んだ。
エリックさんに新人教育を受けて、彼の、人を寄せ付けないようでいて、部下一人一人にまで気を配るような、優しさに憧れていたから。
俺は、エリックさんみたいな死神になりたかった。彼とパートナーになりたい、と人事課に強く申し出たのは俺だ。エリックさんみたいに強い死神には、普通パートナーはつかないが、報告書を溜めるのが悩みの種だった人事課は、すんなりと組ませてくれた。
エリックさんの、完璧じゃない不器用な所を見て、俺は余計彼に憧れた。
…いや、違う。駄目な所に憧れる、って言葉はおかしいな。何だろう…。可愛い、かな。思って、あの強面で髭のエリックさんを可愛いなんて、と一人苦笑した。
報告書は、あと一枚。休憩室に向かうと、エリックさんもそこに居た。
【ミルクティーみたいな君】に続く。