トモコレ-1
□【トモコレ日記:8】
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「好きです!俺と付き合ってください!」
立ち上がって正面から勢いよく頭を下げられ、俺は一瞬、言葉を失った。直球にも程がある。クスリとひとつ漏らすと、下げられたままのアランのブラウンの前髪がゆれた。
「やっぱり…」
「ん?」
「やっぱり、駄目ですか…?」
語尾が微かに震えていた。正攻法できたから度胸があると思ったが、そうではなかったようだ。そんな事でさえ愛しいと感じ、俺は目の前にあるアランの髪を撫でようとした。が、スッと身が引かれると、脱いだ下駄はそのままに、海に背を向け走り出した。
「すみません、忘れてください…!」
「おい!ちょっと待て!」
俺も慌てて立ち上がって追いかけようとする。が、アランが浴衣の裾と砂に足をもつれさせ、その必要はなくなった。後ろ姿のアランを抱き起こすと、両の拳で目元をおおってしまう。
「まだ返事してないだろ」
「でもエリック、笑って…」
「顔見せろ」
僅かに抵抗があったが、手首を掴んでゆるゆると開くと、大きな黄緑の瞳がしっとりと潤んでいた。その瞳を見つめ、俺は甘く囁いた。
「…よろしくお願いします」
「えっ」
自分から切り出したにも関わらず、アランはひどく驚いたカオをしてみせ、その後、耳まで赤くなった。
End.