エリアラ-1
□【A world end】
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──カタタン、カタタン…。
車窓の外には、見渡す限り小麦の穂が続く。まるで黄金色の海だ。
「たまには、鉄道の旅ってのも良いものネ、ウィル」
四人がけの対面席。その通路側に座ったグレルが、隣のウィリアムにしなだれかかる。
「貴方がたと、プライベートまでつるむ趣味はないのですが」
ウィリアムが、ぴしゃりと言い放ち眼鏡を上げる。好ましそうにひとつ鼻で笑い、グレルの向かいのエリックが返した。
「ハッ。違いねぇ」
「んまぁ何ヨ。あんた達の見送りに来たんじゃないの!」
「そうですよエリックさん」
エリックの隣のアランがやんわりと咎め、両の椅子の背もたれに腕をかけて立つロナルドが言った。
「しかしアレッスね。今更転勤なんて、めんどくさいッスよねー」
「でも、エリックさんと一緒だから気が楽だよ」
「その辺は、人事課も配慮したのでしょう」
「アタシも、ウィルとだったら何処へだって行っちゃうわよ〜ん」
ハートマークを散らした告白の後に、色気なくイデデデ、と続いた。
「あ、すみませんサトクリフ先輩。揺れて」
ロナルドが、グレルの足の上から自分のそれを、にこやかにどける。
「ちょっとぉ!あんた今わざとでしょお!」
「そんな事しないッスよ」
あくまでもにこやかなロナルドと対照的に、ヒステリックにわめくグレル。ウィリアムがため息を、エリックが含み笑いを、同時に漏らした。
「まっったく…」
「おいおい。最後の思い出が痴話喧嘩なんてやめてくれよ」