エリアラ-1
□【君を迎えに/2】
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「何だ…来ないじゃねぇかよ…」
エリックはグラスを磨きあげながら、時計を見て独りごちた。時刻は深夜と早朝の間。閉店時間だ。
思いのほかがっかりしている自分に、エリックは、アランと話すのを楽しみにしていた己に気付く。
(初めて会った気がしねぇんだよな…あ、前に会った事あるって言ってたっけ)
店じまいをし、まだ星のまたたく外へ出る。
「やあ、エリック」
「あ」
店の前で、アランが待っていた。思いがけなく、嬉しい。
「アラン。どうして…」
「君に、どうしても見せたい物があって。これから、ちょっとだけ付き合ってくれないか?」
「ええ。構いませんけど」
「ああ、それと今日からは客じゃないんで、敬語は抜きで頼むよ」
「はあ…」
* * *
白々と夜が明け出す頃に着いたのは、病院だった。入院施設の整った、大きいと言えるものだ。真っ直ぐにその入口に進むアランを見て、エリックが、
「おい、鍵閉まってるぜ」
アランは無言で扉を開ける。すんなりと開いた。
「あれ?」
「着いてきて」
エリックは不思議そうな顔を隠さないが、アランに導かれ、中へ入る。静かな筈の早朝の病院に、一室だけ、話声の漏れ聞こえてくる病室があった。アランは迷わずその部屋の前へと向かう。
エリックはギョッとした。いつの間にかアランが、長い柄の付いたナタのような、武器と思しき物を持っていたからだ。
「アラン、それは何だ?」
「デスサイズ…死神の鎌だよ。これから俺は、この病室に入院している患者…死亡予定者の魂を回収する。エリックはここで待っていてくれ」
そう言うと、扉に向かって歩を進める。エリックは息を飲んだ。アランは、閉められた扉をすり抜けて、中に入ったのだ。
「マジかよ…」